2014年8月22日金曜日

食事中のセシウムの限度にかんする定量的考察

Bandazhevskyの心電図データの異常は、丁寧に考察を重ね、いくつかの仮定をおけば、メカニズムとしては、十分に想定できる、ということを議論しました。

ちょっと書ききれませんでしたし、さらにいくつかの仮定をおくことになるので、ここでは触れませんが、Bandazhevskyの論文のtable-2のデータにある、高血圧の高発症も、どうようの考察で、説明できる可能性が高いと考えています。(注:補足説明)







では、かれのデータの50Bq/kg以下の内部被曝に抑えるためには、どのくらいの食事をとればいいのかを、議論します。



今、食事で20Bq/kgの低汚染量(日本の規制値以下です)の食事を取っていたとします。





セシウムの、生物学的半減期は、大人で70日、子供で20日。100日程度とか、110日と言うデータもあります。計算を簡単にするために、ここでは、100日と言うデータに基づいて、議論していきます。つまり、一度摂取した放射性セシウムは、その後、汚染物質を全く食べなければ、約100日で、その半分量が身体外に排出される、ということです。



1日の摂取吸収量を(20Bq/kg x 食事量1.5~2.0kg)、と置き、吸収率を約90%とし、平衡状態の濃度を計算する。初日は0Bq/kgからスタート。

入ってくる量と、1日の減少量がつりあったところで平衡に達します。

平衡状態の蓄積量をN(Bq)と置くと、



Nの1日減少量と、摂取吸収量がつりあうということ。つまり、Nx (1/(100 x1.443)) = 20 x (1.5~2) x 0.9

従って、平衡状態の蓄積量はN = 約3900~5200Bq



体重60kgの成人とすると、65-87Bq/kg

Bandazhevskyの濃度を超えてしまいます。



試算では、約1年半から2年で、この平衡状態の濃度に達すると考えられます。



イメージ 1









これが、食事は、厳格に10Bq/kg以下を目指さないといけない 、という理由です。

でも、厳しいことを言いますと、10Bq/kgの食事を続けていたとしても、体重33-42Bq/kgに達してしまいます。本当は、10Bq/kg以下でもまだまだ不十分で、これより、1ベクレルでも2ベクレルでも低ければ低いほど良い 、という考え方も、計算上は成り立ちます。



今の米の規制値は、100Bq/kgと伺っていますが、見直しをした方がいいと思います。

きちんとした、学術論文で、Bandazhevskyという学者が、明確なデータを出しているわけです。



決して、無視していいデータではないと思います。







福島の農家の方々のご苦労と、必死の努力を考えると、このような計算結果をここに書かねばならない、ということには、大変に心が痛みます。

どうか、政府が、手厚いサポートを供し、もしも、10Bq/kg以下が達成できない農家の方には、長期的には、安全な土地での再出発を支援する体制を、ぜひとも、早急に整えてあげていただきたいと思っています。



個々の住民が、今後どのような選択を取っていけばいいのか、難しい選択を迫られる状況もあると思いますが、どうか、いろいろな可能性を考え、皆様が善処されますよう、心からお祈りしています。











(注:補足説明) Bandazhevskyのデータでは、「高血圧」になる、と書かれています。それ以外に、「血圧が不安定」と本文に記述されているのも見逃せない大事な情報だと思います。ところが一方、セシウム内部被曝をラットで模した動物実験モデルであるGueguenの論文では、「低血圧」になります。このデータの乖離を以ってして、「ほら、Bandazhevskyは信用ならない」という誤解をされるかたも、もしかしたらおられるかもしれませんので、断り書きをしておきますが、実は、この2つは、矛盾しない説明を、(ある程度は)できると思っています。後ほど、時間ができたときにでも、少し詳しい解説と解釈を、書かせていただきたいと思います。







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2014年8月15日金曜日

【資料】 Symposium Articles—Outcomes of Fukushima




Symposium Articles—Outcomes of Fukushima







    • Tomoko Y. Steen and

    • Timothy Mousseau


    Outcomes of Fukushima: Biological Effects of Radiation on Nonhuman Species


    J Hered (2014) 105 (5): 702-703 doi:10.1093/jhered/esu049







    • Timothy A. Mousseau and

    • Anders P. Møller


    Genetic and Ecological Studies of Animals in Chernobyl and Fukushima


    J Hered (2014) 105 (5): 704-709 doi:10.1093/jhered/esu040







    • Wataru Taira,

    • Chiyo Nohara,

    • Atsuki Hiyama,

    • and Joji M. Otaki


    Fukushima’s Biological Impacts: The Case of the Pale Grass Blue Butterfly


    J Hered (2014) 105 (5): 710-722 doi:10.1093/jhered/esu013







    • Gohei Hayashi,

    • Junko Shibato,

    • Tetsuji Imanaka,

    • Kyoungwon Cho,

    • Akihiro Kubo,

    • Shoshi Kikuchi,

    • Kouji Satoh,

    • Shinzo Kimura,

    • Shoji Ozawa,

    • Satoshi Fukutani,

    • Satoru Endo,

    • Katsuki Ichikawa,

    • Ganesh Kumar Agrawal,

    • Seiji Shioda,

    • Manabu Fukumoto,

    • and Randeep Rakwal


    Unraveling Low-Level Gamma Radiation–Responsive Changes in Expression of Early and Late Genes in Leaves of Rice Seedlings at litate Village, Fukushima


    J Hered (2014) 105 (5): 723-738 doi:10.1093/jhered/esu025








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