2010年8月3日火曜日

2010年版「労働経済の分析(労働経済白書)」失われた20年から「失われた30年」へ

★景気拡大が始まった2002年以降、大企業ほど非正規雇用を増やしてきた。

 人件費を削減すると共に新規学卒者を採用し、じっくりと人材を育てる
 よりも、賃金の低い者を活用し、即戦力の確保が重視された。
 労働者派遣事業の規制緩和が、こうした傾向を後押しした。

 この日本企業の政策が2つの面からブーメランで我が身を痛めつけている。

 非正規労働者の増加は、これまで日本経済の強味を生み出してきたQA
 サークル等の自発的な能力の底上げが失われ、個々の企業で技術・技能
 の継承や人材育成すら出来なくなった。

 一方で非正規雇用者がぐっと増え、その所得が1~3百万円台の低所得
 で国全体の消費拡大には寄与しないワーキングプア乃至候補を増やした
 ことで、自社の国内収益の伸び悩みをもたらしている。

 地方に住む若年労働者は、自動車を保有する動機がとても強いはずなの
 に自動車会社の孫請け、ひ孫請けにて派遣で働く労働者の自動車保有
 率は驚くほど低い。

 秋葉原事件の主は自動車工場に働いていたが、自分の作っているメーカーの
 自動車ではなくレンタカーを借りて秋葉原に行った。

 初めて、高価な自動車を大量に売ったフォードはどうしたかを思い出し
 て欲しい。

 フォードは単純作業の自動車製造ラインの労働者を大量に雇ったが、
 給料は相場の2倍を支払った。その給料なら2ヶ月働けば自動車が購入
 できたのでフォードやその下請けの労働者がこぞって自動車を買った。

 この好循環がアメリカ全体にまで波及していったので、フォードの車は
 売れに売れたのだ。

 フォードがアメリカンドリームを体現し、アメリカを世界一の経済規模
 に押し上げたやり方とは全く逆の経営を15年間続けているのが日本。

 この経営方法を変えない限り、失われた20年は、「失われた30年」
 になる。

 日本の経営者は自分がヘンリー・フォードのように、自社の従業員を
 使って生産性を高めることができて一人前だと知れ。

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