2013年7月2日火曜日

6/29に開催された講演会「今国会で改正・環境法改悪の最大の問題点を暴く」報告

昨夜は、今回の環境関連法改正に関する藤原寿和氏(3・26政府交渉ネット事務局/廃棄物処分場問題全国ネットワーク共同代表)の講演会に参加してきた。藤原さんの説明では、今回の法改正について手続き面を含め、以下の通り多くの問題点が指摘された。



1、これまで、環境中に放射性物質が放出されて環境の汚染をもたらすことは起こり得ないとの前提から、放射性物質の取り扱いについては、原子力基本法をはじめ、原子炉等規制法及び放射線障害防止法等の原子力関連法令に委ねられ、環境基本法をはじめ、水質汚濁防止法や大気汚染防止法など12の環境関連法では、「放射性物質及びその汚染物」は適用除外扱いとされてきた。



2、東京電力福島第一原発事故により放射性物質及びその汚染物が一般環境中に大放出され、大気や水質、土壌、森林、農地など国土を形成するあらゆる環境汚染をもたらした。この時点で環境関連法令の抜本的な改正を行い、「放射性物質及びその汚染物」に対する環境規制措置を講じる必要があった。



3、にもかかわらず、政府は「放射性物質汚染対処特別措置法」の制定を受けて、今後は環境法体系の下で放射性物質を扱うことができるよう、「原子力規制委員会設置法」の附則で「環境基本法」第13条の「適用除外規定」を削除した。(政府の巧妙な戦略、ここが重要ではないか)



4、環境関連法の憲法ともいうべき「環境基本法」の重要条項を改正するにあたっては、本来であれば「中央環境審議会」に諮問を行い、その答申を受けてから地方自治体をはじめ国民へのパブリックコメント等の手続を経るべきだが、そうした手続きを一切行うことなく、「原子力規制委員会設置法」の附則により改正を行った。



5、さらに「環境基本法」の改正を踏まえて、政府は直ちに個別環境関連法令の整備に着手すべきところその手続を怠り、本年4月19日の閣議で「放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案」を閣議決定し、地方自治体への事前説明や国民に対するパブリックコメント等の機会もなく閣議決定当日に国会に上程し、6月17日 に同法は成立した。



6、今回の法改正では、汚染物質に対する規制や監視等の一切の権限を有してきた都道府県及び政令市等の権限を「放射性物質に関してのみ」環境大臣の権限に集中し、しかも常時監視の対象としている放射性物質をセシウム134、セシウム137及びストロンチウム90の3種類のみに限定している。



追記:今回の原発事故を受けて、原子力事業推進官庁である経産省(資源エネルギー庁)に規制の役割を持たせるのは好ましくないとの反省から、「原子力安全・保安院」を廃止して環境省に「原子力規制委員会」を設置したが、瓦礫処理や除線処理で分るとおり、放射性物質処理関連予算を配分する新たな事業推進官庁と化している環境省に放射性物質の規制権限を集中するのは、今回の事故の反省を顧みない極めて不適切な行為と言わざるを得ない。



7、今回改正された法案は、環境関連12法のうちの大気汚染防止法、水質汚濁防止法、環境影響評価法及び南極地域の環境の保護に関する法律の4つのみで、廃棄物処理法や土壌汚染対策法など他の個別環境法については、「放射性物質汚染対処特別措置法」の附則に施行3年後の関係法律の見直し規定が盛り込まれていることを理由に先送りしている。



追記:昨夜の報告会では、法案は成立したものの参議院で附帯決議が採択されており、これを突破口にして本来の環境規制のあるべき方向に巻き返しを図りたいとのこと。



◆放射性物質による環境の汚染の防止のための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(平成25年6月13日)



藤原氏は、今回の環境関連法改正を受けて以下のHP(中段部分)で「放射性物質による環境の汚染の防止に関する環境法令」の 改悪に反対する決議への賛同(個人・団体・グループ)の呼び掛けを行っている。



◆3・26政府交渉ネット



◆参考資料ソース







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via あざらしサラダ (愛知県がれき受け入れ問題) http://azarashi.exblog.jp/18017729/

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