2010年10月2日土曜日

樋口健二氏講演「ヒバク~放射能の恐怖」(7)田中角栄と柏崎刈羽原発

という事でね、被曝の暗黒部分ってのは皆さんの想像以上。何も考えなかったら、この国は良い国だね。社会問題考えなかったら、僕は良い国だと思うよ。頭パーで生きてたら。だってニートとかいって、働かないで85万人生きてるんだよ。俺なんか一生懸命やって、やっと生きてるってのにさ。なんだよって。おかしいね。

 後、もう一つ言いたいのは、この国の有り様ね。60年代から高度経済成長に入ったのは良かったんですよ。それまでは貧しかったからね。俺なんか戦争終わった時は小学校2年か3年でしたよ。信州の山の中、食う物も無く、餓えて餓えて。

 信州なんか沢山飯が喰えたんじゃないかと思ったら大間違い。冗談じゃねえや。国が一つの田んぼに対して何俵供出しろって命令来てるからさ、隠し通せなかったんだよね。親爺達も、テメエの息子だ娘だ、家族が皆餓えてるのによ、国にみんな出した。だから餓えてた、我々は。そんで、大きくなった時に「何だあの餓えは」って言ったら、「戦争だからしょうがないじゃねえか」って。

 戦争のために餓えたんだぞ、じゃあ戦争反対するに決まってんだろ。なんか食い意地だけの戦争反対みたいだけどさ。人間、餓えの恐ろしさが一番辛いですよ。皆さんも、見た所タラフク飯を食ってますね。8時間寝てお酒飲んで。これじゃ困るのよ本当は。一度で良いから学生に経験してもらいたい。「餓えなさい、三日食うな」って。

三日食わなかったらね、本当つらい。食う所なんていくらでもあるじゃねえか、ちょっと足を伸ばせばコンビニがある、捨てるぐらいある。だからこそ一度でいいからやってみたらいい。日本は一体どうなっていくと思いますか、皆さん。やっぱり革命が必要ですね。革命っていっても殺しあいとかじゃなくて。体制をもう一度立て直す。やらなきゃ駄目だねやっぱり。大学教育から始まってね。良い芽を起こさないとね。

 なんでこんな国になったかって、俺に言わせりゃ簡単だよ。豊かになっていったでしょ、企業が大きくなったでしょ。大企業に就職すりゃ、みんな給料沢山貰えたんだよね。ここが間違いだったのよ、俺に言わせりゃ。

 皆、良い大学行って。そこに行けば良い会社に入れるようになってたからよ。だから、ちょっと俺みたいに出来が悪いのは大変だよ。落ちこぼれていくんだからよ。俺は落ちこぼれるのはかえって良かったんだけどね。自分の道を選んだんだから。それを分からなかった子どもたちが一杯いたんだわ。それがグレたり、ワルするようになって、そこを疎かにしちゃったからいけなかったんだよ。

 だいたい皆サラリーマンにしようなんて。一億総サラリーマンにしようと思った事が、教育間違ってたんだよ。大工になるのがいても良いし、いろんな職業が世の中に一杯あるんだから、おめえはコレがいいぞって先生が言ってやらなきゃならなかったんだよ。我々の世代は皆そういう風にやってきてたんだよ。

 「お前は体が丈夫だし、よく動くからお前蕎麦屋になれ」とかね。先生がよく言ったのよ。今は、そうじゃねえだろ。皆仲良くサラリーマンになろうよってやったから。なれねぇのがいるに決まってるじゃねえか。大学だって一流大学出れる奴と出れない奴がいるんだから。

 教育がなっちゃないんですよ、哲学を教えなきゃ。産学一体で、良い会社へ人材をドドーって。それは今だって同じだ。増々酷くなってる。もっと酷くなると思いますよ、この日本は。戦争なんかやらなくてもね、そういうことで潰れていくだろうよ。そして初めて気が付くんだよね。全日本国民が。

 日本って国はだいたいそうじゃない、戦争だってとことんやらなきゃならないんだから。途中でやめないんだから。そうでしょう、玉砕だって言ったんでしょう。戦争やった連中こそ死んでほしいって思いますよ。

 関東軍が一番責任者なんだよね、満州では。それで残ったのが残留孤児だ。現代史を一つも教えてないよ、学校は。それで日中、日韓がおかしくなっちゃうんだな。

 さあ、革命を起こしましょう皆さん! 原発被曝をやめさせましょうって言って下さいよ、皆さん。

 他の事も、もちろん必要だけどさ、今やっぱり「人間を殺している」という事、これをどうしたって許しちゃならないと思います。これは小さな問題じゃありません。実は大きすぎたから潰しているんですよ、こうやって。

 他の問題はね、地震とかは「いや、それは大丈夫ですよ」って言うに決まってる。日本の土木工学は世界一だって言ってるんだから、地震に耐えられるって言ってるんだから。それでお終いじゃないですか。いくらワアワア言った所で。

 被曝を本当に問題にしたら青くなるよ。「人を殺すのだけは止めましょう」って。それでもエネルギーが欲しいんですかって。自分達だけ平和を買って、労働者を潰して、殺して、今だってそうして動いてるんですよ、実際は。

 これを言いたくて今日は大阪に来たんです。俺は全国で言って歩いてます。バカの一つ覚えだけど。でもありがたいよね。こうやって色んな人たちと出会ってね。数で云えば、恐らく全国ネットになれば、結構な数だけどさ、まだまだ・・・

 今日嬉しかったのはね、僕の話を初めて聞く人がいるっていうからさ、感動しちゃったね。大阪にも、俺は何度も来てるよ。この話をしに。今日は違う人たちですよ。ああ、よかったって。話は下手ですけど。

 話が上手かったら俺は国会議員になってウソばっかり言ってますよ。そんで選挙の時だけワーって言ってりゃいいんだから。俺、一番嫌いなのは国会議員だ。政治家と大学の先生だ。評論家って連中。何も動かないでいい。今はインターネットで大事な物はみんな取り寄せりゃいいんだから。そんなんだから、後で盗作だって事になる。見てごらんなさい。俺らみたいに足で歩かなきゃいけない。それで全国ネットを作る。

 だから俺に文句を言う人は一人もおりません。現場を見てるから。今日もいないでしょ。許せねぇって人いるかな? 言葉悪いからごめんね。

 その人は出てきてくれていいよ。俺は日本一言葉が悪いんだから。信州の山の中で言葉覚えたから大変だよ。東京出たけど、言葉なんか治りませんでした。いや治すつもりもありません。これは方言だから。文化だから。治す必要は無いってね。

 標準語? 冗談じゃない、あれが間違っている。皆を一つにしようなんて大間違い。そういうことで、余計な事もしゃべりました。ちょっぴりは解っていただけたんじゃないかな、これで。

 もうひとつ言い忘れてた。原発の体制ってのは、実は電力の需要から作られてるんじゃないんだ、経済から作られてるんだ。

 一機原発を作ると、6000億以上金が動く。これは美味しい仕事ですね。100万キロワットが一機でですよ。中国電力が新しいの作ろうとしてるでしょ、今。無情だね。

 それから、議員のレベルになると、国会議員で億の金が入るんだそうです。地方議員で何千万。その連中を見てりゃよく分かる。ありゃ原発推進してるなって。止められませんよ、そんな美味しい事は。

 田中角栄が首相になったのも分かりますね、今太閤でも何でもありませんよ。東京電力とくっついたからですよ。柏崎とかに、一ヶ所に800万キロワットを作ったから、これで首相になった。

 マスコミはバカだから今太閤とか言ってたけれど、バカもほどほどにしないとね。角栄が原発用地を土地転がししたルポルタージュを俺が初めて書いたんだけれどね、土地転がしをして一回引っくり返しゃ4億とかやってた訳ですよ、あの男は。それで自民党員に金を配ったんだよね。

 投票するに決まってるでしょ。俺が自民党員で国会議員だったら。田中先生って書くに決まってるじゃん。全て金。なんだこりゃ? これが巨大原子力産業なんだよ。ここからコマーシャル料ばっちり貰ってるから、こんな一番酷い問題が分かっていても書かないんだよ。報道しません。これからもしないでしょう。だから皆さんにやってもらうしかありません。これは国民がやるしかない問題です。マスコミは駄目ですよ。

 という訳で、ちょうどいい時間になりました。今日は本当にありがとうございました。

(2005年7月2日 大阪市立生涯学習センターにて)

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