2010年10月2日土曜日

樋口健二氏講演「ヒバク~放射能の恐怖」(1)巨大原子力産業がマスコミをコントロールしている

皆さん、こんばんは。紹介を頂きました樋口です。よろしくお願いします。

 私は三十数年間、被曝労働だけを追ってきました。原発の問題というのは様々ありますね。「もんじゅ」をはじめ、JCOの臨界事故や、核廃棄物問題とか、地震まで含めると様々ありますけれども、私にとって労働者の被曝問題はどうにも避けて通れませんでした。

 それというのも、僕の被曝問題の原点は、この大阪なんですよ、皆さん。



 皆さんももう、ご存知かと思いますが、2001年10月10日に亡くなられた岩佐嘉寿幸さんという方が、わが国初の原発被曝裁判を起こした方です。裁判は1974年4月15日から始まりました。

 岩佐さんが実際に被曝したのは、1971年5月27日、敦賀原発でした。わずか2時間半で、右側のひざに腫瘍ができる放射線被曝を受けました。この岩佐さんの訴えに対して、国も原発関係者も、さらに東大の教授まで出てきて、被曝が原因ではないという政治判断を下していったすごい時代がありました。

 時代を振り返ると、70年代というのは高度経済成長に向けて日本がまっしぐらな時です。この時は、やっぱり原発というのは説得力があったんですよね。エネルギーはいくらあっても必要な時だったんです。

 でも今は、どこも工場をぶっ壊してるのに、どうして原発が必要なんですか? 日本に原発なんかひとつもなくていいんです。

 今物を作っているのは中国や東南アジアですよ。あるいは、トヨタなんかみんなアメリカで作ってますよ。日本では物は作れません。何故作れないかというと、労働力が高いからですよね。人件費が安いところにみんな工場をもっていってるから電力なんて要らないんですよ。

 しかもこの国は地震大国なのにビルをバカバカ建ててるでしょう。ここ大阪もそうだけど、東京なんかひどいもんじゃないですか。ニューヨークのマンハッタン以上ですよ。これを建てたのにはね、理由があるんですよ。それは電気を使うためですよ。日本人は僕も含めてみんなバカなことやってますよね。

 だから、本当はもう電気は要らないんですよ。それよりも、労働者を殺すことをやめましょうと、今日は訴えに来ました。

 大阪でもたくさんの労働者が原発を渡り歩いています。本当にすさまじいもんです。僕の集めた資料だってすごいもんですよ。今日はちょっとしか持ってこなかったんですが、資料を見るとすさまじいことが分かりますよ。

 原発は全国の労働者を必要としていますから。何百万という人間が原発には必要なんですから。この話をしないから、みんな原発はコンピュータで動いているという認識を持ってしまったんですよ。それはマスコミがそのように報じたから。

 僕に言わせると、いちばん悪かったのはジャーナリズムです。今日はジャーナリストの方はいらっしゃいませんか? なぜ、こんなことをしたんでしょう? 真実を伝えるのがジャーナリズムですよ。僕はその真実を伝えるために三十数年かかっています。

 日本のマスコミが伝えない理由は簡単なんですよ。日本のジャーナリズムは、NHKも含め全部、国や企業から金をもらっているんですよね。だから本当のことを報道できないんですよ。皆さんの視聴率の影響なんてわずかなもんですよ。みんな原発から金をもらってるんですよね。巨大原子力産業です。

 ところで、皆さん、原発をどのように思っておられましたか? 原発というのは電力会社がやっていると思っていたでしょう? 電力会社が電気をつくるのは当たり前だと思っていらっしゃるでしょう。

 ところが現実はそうじゃないんですよね。三井グループ、三菱グループ、住友グループ、この三大財閥が、原子力を根底から支えているんです。

 これじゃあ、かないませんよね。ジャーナリズムなんか簡単に抑えてこれたわけですよね。その上に東京原子力グループなど、日本には原子力グループが5つあって、日本の政治を根底から支えているんですからちょっとやそっとじゃかないませんよ。だから、30年経とうが、40年経とうが原子力が止まらなかったのはそういうことなんですよ。

(2005年7月2日 大阪市立生涯学習センターにて)

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