2010年7月29日木曜日

新後期高齢者医療保険制度中間報告案の疑問

新後期高齢者医療保険制度中間報告案の疑問

医療制度研究会・済生会宇都宮病院 中澤 堅次
2010年7月29日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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 評判の悪かった後期高齢者医療制度は再編成され、新しい案が中間報告として提示される段階にある。医療現場に働くものとして気になる改革が含まれており、方向性が定まらない民主党政権の新たな火種の一つにならないうちに問題を指摘させてもらう。

 今回の案は、75歳以上の後期高齢者が入る保険を、国民健康保険に一体化させて運用することを骨子としており、企業が運営する被用者保険が後期高齢者医療制度から外された形になっている。国保は今までもまた今後も単一の保険では財政上成り立たないハンデを背負っており、後期高齢者医療の費用負担は公費か他の保険からの支援金に頼るしかない。
 公表された案は被用者保険が高齢者の支援に原則係わらない構造で、厚労省がこれから国保の支援策を検討することになっているが、高齢者が抱える医療問題から被用者保険を撤退させ、企業を優遇しようとする姿勢には違和感を覚える。

 一生のうちに病気のリスクが最も高い時期は、周産期を除けば、75歳前後の十数年であり、それ以外には医療費を使う機会はあまりない。これは医療統計上の事実であり、年齢別国民医療費も全国の入院統計も同じ事実を示している。うまれたときと出産期に健康の危機があり、これを経過すればしばらくは平穏だが、50歳を越える頃から老化による疾患のリスクが増加し、75歳を越えるころから年々死亡数が多くなり、人口も減り100歳を超えると全てが終わる。国の医療費が使われるのも75歳周辺の時期が際立っている。

 高齢世代に偏る医療費を負担するために、健康な国民から保険料が徴収され、集金は国民健康保険と企業が運営する被用者保険がやっている。ところが二つの保険加入者はそれぞれ年齢構成が異なり、退職者や今度加入する高齢者が入る国保の年齢は高く、定年で区切られる被用者保険の加入者は若い。被用者保険は収入があっても使わないという特性になり、国保は収入がままならないが支給額だけは高い。国保に自力解決が求められれば資金はすぐに枯渇し、所得の低い人は簡単に排除される。はじめから勝負は見えている。
 被用者保険を高齢者から切り離す政策は、保険料の半分を支出する企業にとっても異例の優遇処置になる。もちろん拠出金や支援金で支援が行われるが、救助される側の要求が支援する側の意志を越えることは無く、保険者間の格差は無くなることはありえない。医療は総額が大きいから保険者の負担の差も大きなものになる。

 知ってか知らずか、菅内閣は日本の企業税が高過ぎて経済の足かせになっているから、企業税を減税して立て直したいと表明した。しかし、日本の企業が負担する社会保障費は他の先進国に比べて低く、企業の負担率と合算すれば決して高くないということは常識であり、この現象に被用者保険の優遇が関係しているかもしれない。
 つまり日本の企業は国際競争において国の社会保障を担わなくて良いというアドバンテージを与えられ、その代わり企業税を取られているといえる。その帰結はトヨタが一兆円という大きな利益を上げても、国全体の豊かさに貢献せず、経済危機にあっては真っ先に派遣労働者を切って逃れる発想になる。質の高い産業を持って得た外資を、国内の社会保障に廻して国を支えている北欧諸国とは正反対の対応である。

 強い産業を志向するために企業減税をするのも良い。しかし同時に得た利益を社会に還元するために、企業は健康保険でも対等な貢献をするべきである。それは企業の信頼感につながり、内需型の産業の育成にもなり、将来どの国も遭遇する高齢危機にアドバンテージを持って貢献できる産業の育成につながる可能性をもっている。目指すのは改訂案のようなまやかしの国保への一体化では無く、民主党が政権交代のときに表明した純然たる健康保険の一体化、すなわち国保も健保も高齢者医療保険も一体化する統合である。

 国保と健保の統合は、国保加入者の所得が補足できないから無理だという議論が必ず出る。それなら社会保障を目的とした消費税を主な財源とするべきである。若い勤労者に対する搾取ともいえる皆保険では無く、全国民がそれぞれの活動の中で支払う消費税を基本に設計するべきである。国も企業も一体化された社会保障に惜しまず貢献し、軽減された企業税により産業を発展させるべきである。支えを要する高齢者や母親世代がそれにより助けられるならば、若者もいつかは自分にめぐってくる運命の循環で、国民同志の助け合いと民族の継承を実感するに違いない。

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皆様からのご寄附をお待ちしております!!出産の際に不幸にしてお亡くなりになった方のご家族を支援する募金活動を行っています。お二人目のご遺族に募金をお渡しすることができました。引き続き活動してまいります。
周産期医療の崩壊をくい止める会より http://perinate.umin.jp/

Posted via email from 3tarou's posterous

2010年7月25日日曜日

使用済MOXに関する経済産業大臣への質問・要請書 の提出団体になってください。

使用済MOX燃料は超長期に地元で貯蔵され、
プール水の漏れで環境を汚染します。

◆要請事項
1.玄海3号、伊方3号のMOXを
直ちに炉内から取り出すよう指示してください。

2.福島Ⅰ-3号、高浜3・4号、浜岡4号への
MOX装荷を認めないでください。

3.すべてのプルサーマルの進行を凍結してください。

◆要請の主旨
プルサーマルの進行をくい止めるために、国に対して質問・要請書
を出します。共同で提出する団体を広く募っています。ぜひ内容を
広めて、提出団体になってください。

九州電力と四国電力は、多くの反対の声を踏みにじりプルサーマル
を開始しました。さらに福島Ⅰ-3号機では、11年前に搬入した
MOX燃料をこの夏(追記:8月中旬以降)にも装荷しようとして
います。高浜3号機では10月の定期検査で、浜岡4号機でも年度
内にMOX装荷が予定されています。また、女川3号機等でもプル
サーマル推進が強まっています。このような強行推進を止めるため
に、全国の力を結集して、国との交渉にのぞみましょう(追記:交
渉は8月3日12時から新装なった参院議員会館で行われます)。

プルサーマルによって生み出される使用済MOXは、その搬出先も
なく、原発の使用済燃料プールで超長期間保管(追記:福島第一原
発所長は7月14日「現時点では燃料プールでの保管を基本に考え
ている」と発言しました)され、地元を核のゴミ捨て場にします。
このように、搬出先もないままに、使用済MOX燃料をつくりだす
行為そのものが原子炉等規制法に違反しています。

さらに、「原子力政策大綱」では、使用済MOXの処理の方策は、
「もんじゅ」や六ヶ所再処理工場の進ちょく状況を考慮して201
0年頃から検討を開始するとしています。しかし、これら核燃料サ
イクル政策は行き詰まっているのに、プルサーマルだけを強行して
います。その矛盾の集中点が行き場のない使用済MOXであり、そ
のツケを地元の人々に押しつけようというのです。

他方、米国では老朽化した使用済燃料プールから微量の放射能汚染
水が数年間も気づかれないまま漏えいし続け、その結果、大量の放
射能汚染水が流出して環境を汚染し、大きな社会的問題になってい
ます。日本の電力会社のプール管理でも、微量な漏えいは放置され
てしまいます(追記:福島第一でも1年間漏れを放置していました)。
使用済MOX燃料の超長期の保管は、米国と同様の環境汚染を引き
起こす危険があるのです(追記:この問題に米国で取り組むケビン
さんの報告会を8月5日大熊町で開きます)。将来にわたる環境を
保全するのが、現在の私達の責務でもあります。

国への質問・要請書の連絡先団体は、グリーン・アクション、美浜
の会、福島老朽原発を考える会、原子力資料情報室です。

★提出団体募集のしめ切りは7月31日です。
(正式の質問・要請書は美浜の会HPに掲載)
連絡先:mihama@jca.apc.org
または fax 06-6367-6581
(団体名と都道府県を書いて下さい)

◆質問事項
1.処分の相手方を示すことができない使用済MOX燃料の使用
は法律に違反しているのでは?
2.「もんじゅ」も六ヶ所再処理工場も大幅に遅れ、本格的に動く
見込みはありません。第二再処理工場を検討できる状況にはないの
では?
3.米国では、使用済燃料プール水の漏えいによって環境が汚染さ
れ大きな問題になっています。日本でも同じことが起きるのでは?

●下記の資料などを活用してください。美浜の会のHPに掲載して
います。
◎提出団体募集と質問・要請書の簡易版(1頁)
http://www.jca.apc.org/mihama/stop_pu/meti_q1007_boshu.pdf

◎メールをやっていないお知り合いには、上記の簡易版とFAXで
の連絡用紙等を送ってあげてください。
http://www.jca.apc.org/mihama/stop_pu/meti_q1007_boshu_fax.pdf

◎正式の質問・要請書(4頁)
http://www.jca.apc.org/mihama/stop_pu/meti_q1007.pdf

◎参考資料として活用してください
 使用済MOX燃料-原発プールでの超長期保管の危険性
  シリーズ1 米国で多発する使用済燃料プール等からの漏えい事故
   http://www.jca.apc.org/mihama/stop_pu/spmoxfuel_ser01.pdf

  シリーズ2 日本での使用済燃料プール等の管理の実態
         -米国のような微量な漏えいは放置される-
   http://www.jca.apc.org/mihama/stop_pu/spmoxfuel_ser02.pdf

  使用済燃料をプールへ移送する様子を示す動画もあります(25秒)。
   http://www.jca.apc.org/mihama/stop_pu/fuel_assembly_move.wmv

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)
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(送信アドレスに賛同の意思を返信していただいてもOKです。
 代わって「美浜の会」に伝えます)

2010年7月24日土曜日

多剤大量処方と妻の死のストーリー (その1/2) -それは、ただの不眠の受診から始まった-

 購読しているメルマガからの転載です。



2010年7月23日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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 私の妻は、軽い不眠で心療内科クリニックの門をたたき、最後は薬物中毒により命を失いました。これは、彼女の死の原因を追及し続け、5年でたどり着いた私の見解です。
 自殺対策で、うつ病の早期発見が叫ばれています。ですが、その受け皿である精神科、心療内科にそれを受け止めるだけの能力は果たしてあるのでしょうか?

【治療の経緯】

・初診
 不眠と軽い頭痛で訪れたクリニックで最初に処方されたのは、ごく一般的な抗不安剤と睡眠導入剤と鎮痛剤でした。
 当時の私は、会社を設立し、事業が軌道に乗り始めた時期でした。仕事や付き合いでの飲酒、タクシーでの深夜に帰宅することも多く、夜にさびしい思いをさせたと思います。悪い夫であったと言われても仕方ありません。そのことが妻の不眠の原因であったのだろうと思います。

・4ヶ月後
 通院開始後わずか4カ月で、薬は10種類18錠になりました。いわゆる多剤大量処方の始まりです。
不眠の診断に対し、抗うつ剤、抗精神薬、抗不安剤などの薬が複数処方されました。
 一度、一緒に病院に行ってくれと言われたことがあります。当時の私は、大の医者嫌いで、特に心療内科と聞いて、「そんなところに行くな。」と答えました。それから彼女は、私に内緒で病院に通うようになりました。

・17ヶ月後
 薬はさらに増えました。12種類24錠。
 ここで、私が特に問題視しているバルビツレート酸系睡眠薬が登場します。
この頃の彼女は、(今から思えば)薬の副作用とおもわれる肥満が始まりました。私は、彼女に対して、徐々に女性としての興味を失っていきました。このあたりからあらゆる面での悪循環が始まりました。

・初診から23ヶ月後
 多剤大量処方はそのままで、もう一つの問題の薬、別のバルビツレート酸系の薬が登場します。この薬は、ネット上では『飲む拘束衣』などと呼ばれ、覚せい剤の離脱症状を抑える時に使用されます。

・初診から25ヵ月後から4年間
 別のクリニックに転院。多剤大量処方ではあるが、バルビツレート酸系の薬は姿を消します。バルビツレート酸系の薬を無くすために、他の薬の量が増えてしまったとの当時の主治医の記録があります。この医師が、バルビツレート酸系の薬のリスクを正しく把握していたことが分かります。

・亡くなる7カ月前
 もとのクリニックに戻りました。
 これから、亡くなるまで7カ月間、同一の処方が続きます。
 多剤大量処方に加え、バルビツレート酸系の薬が復活します。そして抗うつ剤SSRI。
 処方された薬は、13種類40錠。問題のバルビツレート酸の睡眠薬の一つは、3剤の合剤であるので、実質15種類です。
 この頃の彼女は、明らかに運動能力が低下していました。何も無いところでも良く転びました、夜はトイレに行けず、おむつをして寝るようになりました。また知り合いに意味不明な電話をするようになりました。抗うつ剤SSRIの影響だと思われます。
また、遅く帰ってくると、玄関の扉に鎌が張り付けてありぎょっとしたこともあります。こんなことは彼女の性格上あり得ないのですが、今から思えば攻撃性の副作用が出ていたのだと思います。
 さすがに、あまりの様子のおかしさに、彼女のご両親に相談を始めました。おかしくなるのは決まって夜でした。しかし。昼間になると普通に受け答えが出来るために、私は判断を誤りました。私の一番の後悔は、病院に通っているから重大なことにはなるまいと高をくくっていたことです。

・初診から7年と5カ月目
 冬のある朝、彼女は亡くなっていました。
 自宅で亡くなった為、司法解剖に回されました。3ヶ月後に知らされた死因は、薬物中毒でした。

 今から、5年と半年前のことです。
その時から、私自身の贖罪と犯人を求める長い旅が始まりました。
 
 最初の容疑者は、私自身と薬を処方した彼女の主治医です。

【原因の追究】

(1)医師の説明

 まず、驚いたのは、彼女に処方されていた薬の量です。
 こんなに沢山の種類と量を必要とする病気があるとは、にわかに信じられませんでした。
 事情を聴きに、クリニックを訪れるとその医師は留守でした。家族にご不幸があり、不在ということだった。しかし、なぜか、クリニックは開いていました。無視察で薬を処方しているのではないかという疑いを持ちました。
 医師と会えたのは、妻の死後、2週間後でした。
 私は、医師に疑問をぶつけました。
 何故、こんなに沢山の薬がでているのかと。医師は、「これでも、眠れない人は居る。」とだけ答えました。納得のできない私は、妻の死に関してどう考えているのか文章にしてくれと言い、一旦その場から立ち去りました。医師は文章にすることに同意しましたが、その約束はいまだに果たされていません。
 これ以降、連絡は不可能となりました。従業員には緘口令が引かれ、弁護士を前面に立てて、私とのコンタクトを拒絶したからです。私に裁判という手段が頭をかすめたのはこの時が初めてでした。

(2)ネットによる情報収集

 それから、医師や薬剤師と名のつく人を見つけると、片っ端から質問攻めにしました。
しかし、誰からも、私を納得させる説明は得られることはありませんでした。
 私に最初に情報をくれたのは、インターネットでした。ネット上では、すでに精神医療を非難する声と擁護する声が、互いに罵声を浴びせるような勢いで論争されていました。この問題が、「一医師の問題ではなくて、精神医療自体の問題を含んでいること」を理解しました。容疑者に精神医療そのものが加わりました。
 多剤大量処方という言葉もネットで初めて知りました。
 ネットの力は強力でした。情報の量でいえば、凄まじい量の情報が得られました。しかし、裏付けのある情報をその膨大な情報の中から探し出すのは不可能に思えました。

(3)うつ病受診キャンペーン

 その頃、『2週間気分が落ち込んだら病院へ』といったキャンペーンCMがTVに流れました。このCMは実に不思議なCMでした。CMのスポンサーが誰だか分からない所謂イメージCMでした。結局スポンサーは製薬会社であることが後から分かりました。あたかも政府広報かと勘違いしかねないものでした。私は不信感を憶えました。
 容疑者に製薬会社とTV局が加わりました。
 精神医療そのものに疑問を持ち始めた私には、このキャンペーンが悪魔の囁きに聞こえました。そこに行って、何か解決するのかと。

(4)裁判を阻む壁

 いざ、裁判を起こそうと思う段階になって、単純な疑問がわきあがりました。何故、同じような裁判は起きていないのかということです。ネット上にはあんなに被害者が溢れているのに。けれど、その理由はすぐに分かりました。

・裁判費用の問題(訴訟そのものではなくて殆どは弁護士費用)。
・裁判では、相手が医師(その道のプロ)であるのに対して、原告側に立証責任があること。
・診断も曖昧だが、副作用も曖昧、その曖昧な物をさらに多剤大量処方という悪弊が覆い隠していること。曖昧な物を証明するのは不可能であること。
・なにより被害者の気力が続かない事。
・最大の壁は、医師に与えられた裁量権(処方権)の大きさにあること。
・日本人には、裁判に対する漠然とした抵抗感があること。

 こうした理由で、なかなか裁判まで辿りつかないのです。
 私の場合は、長い社長経験で、裁判に対する抵抗感がありませんでした。
 結果、独身になったこともあり、何とか裁判費用を工面することが可能でした。
     (その2/2に続く)

多剤大量処方と妻の死のストーリー (その2/2)
-それは、ただの不眠の受診から始まった-
元会社社長 中川 聡

2010年7月24日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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(5)他の医師の意見の収集

 ネットで、私の事を知った新聞記者が、コンタクトをして来ました。すでに妻の死後4年近く経過していました。その新聞記者は、精神医療の問題を長年追っていて、裁判事例を探していたのだそうです。彼女との出会いは、今一つ決め手に欠けていた私に急展開をもたらしました。
 彼女は、私の記事を書くために、複数の著名な精神科医、麻酔医、そして妻の行政解剖を行った解剖医にまで、妻のカルテを持って取材をしてくれました。そして、他の被害者の会の人達を紹介してくれたのも彼女です。
 妻への処方内容を見た精神科医は、同じ精神科医からみても異常な処方であることを教えてくれました。そして解剖医は、年間の薬物中毒死の中でも、もっとも多剤の部類であったことを教えてくれました。主治医の処方への疑念は確信に変わりました。
 実は、この時に意見を頂いた医師は、私の裁判の協力医ではありません。あくまで、匿名での情報提供と言うことで意見を頂きました。匿名である理由は、裁判に協力することが、それぞれの立場を危うくするからということでした。

(6)厚生労働大臣、厚生労働省への陳情

 裁判準備と並行し、他の被害者と共に、厚生労働省に要望書を提出に行きました。
 内容は、精神医療の多剤大量処方の規制、EBMのガイドライン作成、減薬のガイドラインの作成等です。
厚生労働省に行き、実際に担当者と話して驚いたのは、もう既に、この問題をかなり正確に知っていたということです。容疑者に厚生労働省も加わることになりました。知っていて何もしない監督官庁の責任は問われるべきだと思いました。
 これについては、つい先日(6月24日)、『向精神薬等の過量服薬を背景とする自殺について』という要請文が、都道府県・指定都市の精神保健福祉主管部局長、日本医師会を始め、精神医療系団体に向けて出されました。内容は、「自殺者の多くが精神科の受診をしていて、処方薬を服薬してるので、処方に気をつけろ」という内容です。表現が穏やか過ぎで、効果があるのか疑問です。
ですが、その直後、長妻厚生労働大臣は、マスコミの取材に対し「薬漬け医療の問題は認識している」と発言しました。今後の動きを期待したいと思います。

(7)新聞報道

 新聞記者と私の間で、裁判の提訴を記事にしたいということになりました。提訴の準備が整い、イザという段階になって、記事が大きく扱えなくなったという連絡が入りました。理由は、新聞社が、大スポンサーの製薬会社に気がねをしたのです。別に圧力があったというわけではありません、単に腰が引けたのです。裁判に勝てるという見込みがなければ記事に出来ないという。私も記者も随分失望しました。それでも都内版の囲み記事で、小さく提訴の記事が掲載されました。新聞では、小さな記事でしたが、インターネットにより全国に配信されました。
 その僅か、3カ月後。6月24日の朝刊の一面トップに、救命医療の現場の声として、安易な心療内科クリニックの多剤大量処方の問題が報道されました。このような問題が新聞の一面トップで報道されるのは非常に珍しいことです。
 その記事の中で、その多剤大量ぶりについて、救命の医師は、「薬理学上ありえない」と言っています。また、記事で、一番酷い例と引き合いに出されたのは、「抗うつ薬4種類、睡眠薬4種類、抗不安薬2種類など一度に14種類」の例でした。これは亡くなった妻とほぼ同等です。その処方に対する複数の精神科のコメントは、「常軌を逸している。副作用に苦しんだり薬物依存に陥る可能性も高くなる」です。

(8)驚くべき東京都監察医務院のデータ

 その証拠を突きつめているうちに、私は、あるとんでもない論文に出合いました。それは、妻を解剖した東京都監察医務院の監察医の論文です。東京都監察医務院へ解剖に回されるのは、東京都24区内の死因が不明なものです(明らかな自殺は含まれません)。
 私が驚愕したのは次のデータです。
 平成19年度、薬物の検出された検体が全部で1,333件、そのうちアルコールが592件、覚せい剤などの違法薬物が37件、そして一番多いのが医薬品612件である。
 さらにその内訳をみてさらに驚きました。
 医薬品のほぼすべてが精神科の処方薬であることです。
 その中でもダントツに多いのが、フェノバルビタール136件、塩酸クロルプロマジン69件、塩酸プロメタジン88件です。これらは、いずれもべゲタミンの成分です。
 このデータは、絶対に見過ごせません。違法薬物の何倍もの死に処方薬が絡んでいるのです。それもほとんどが精神科の処方薬で、さらにその半数以上がべゲタミンという薬なのです。直接の犯人はべゲタミンであることの可能性が高まりました。
 いままで、この数字を気にとめた人は誰もいなかったのでしょうか。患者が勝手に乱用したからと言い逃れできるような数字ではありません。今すぐなんらかの規制すべきではないでしょうか。特にべゲタミンは酷い。

 今度は、バルビツレート酸系の2つの薬を調べることにしました。すると、この2つの薬はとても古い薬であることが分かりました。そしてなんと、現在の教育では、教科書にも載っていないしろものであることがわかりました。現在では、過去に事故が多かったことと、ベンゾチアゼピン系の比較的安全な代替薬登場で、それらの薬にとって代わられているということです。
 意見を聞いた精神科医の中にも、こんな薬は無くなった方がよいという意見は多数あります。無くなっても誰も困らないだろうという医師も複数いらっしゃいます。

 しかし、現実には、これらの薬がいまだに多くの精神科医師により処方され、死亡事故が多数起きているのです。薬に罪は無いとの意見もあるが、これだけ事故を起こしている薬は、何らかの規制をされてしかるべきでしょう。
 少なくとも、このバルビツレート酸系の薬が、この世に無かったのなら、妻はかなりの確率でまだ生きていたと思います。
 こんな薬が残っているのは、薬行政に置いて何らかのシステムの不備があるということです。

(9)医師の医薬品マニュアルの軽視

 医薬品の医師向け添付情報を眺めていて、新たな疑問がわきました。
 私の妻のケースでは、併用注意だけで物凄い数の組み合わせがあります。慎重投与などの注意を加えるともう数えるのも嫌になるほど注意事項が発見できます。細かく数えて行けば注意違反は、100は超えます。ラボナの医薬品説明には、一番最初に劇薬と書いてあります。依存性薬とも書いてあります。いったい何のための表示でしょう。なんでこんな簡単なルールが守れないのだろうという単純な疑問です。

 どうやら一般論として、医師は、医薬品の医師向け添付情報をあまり重視していないようなのです。あれは、製薬会社が自身を守るためにあると思っているふしがあります。製薬会社が身を守るためという認識は正しいと思います。ですが、本来の役割は違うはずです。医薬品の医師向け添付情報が、尊守されていないのであれば、これは重大な問題です。

 つい最近、医療過誤裁判から身を守る為の製薬会社主催の医師向けセミナーが開かれたと聞きました。そこで医師向けに説明されたのは、副作用出現率が5%以上と書いてあるものは副作用を事前に患者に伝えなさいということでした。
 そんな事を、わざわざ教育しなければならないのかとさらに驚きました。ルールは、患者を守る為だけにあるのではない。ましてや製薬会社を守る為だけでもない。医師そのものを守るためにも必要なものです。

 少なくとも、私の生きてきた世界では、ルールとはそういうものでした。
 そして、法(ルール)の番人たる司法もその前提で機能しているはずです。
 最高裁の判例で、『医師向けの医薬品添付情報に従わない場合には、相当の理由が必要』との司法の判断が現実にあります。

 誤解のないように付け加えますが、もっと、裁量権を広く与えられるべき領域の医師もいます。救命医療や新しい先端医療の現場の医師等です。ただしその裁量権もルールで規定されるべきだと思います。

(10)『取りあえず』から始まる薬物依存

 ここまで来て、私の妻が受けた治療は、薬の説明書きに従わず、医師の今までの経験と勘で行われていたことを理解しました。
 ここまでで、随分色んな問題点を発見しました。これだけの様々な悪条件が重なり、妻が亡くなったという事を理解しました。
 けれどまだ、最大の疑問が解決していません。

 妻は、いったいなんの病気で、どう診断され、どんな治療を受けたかということです。
 精神科の診断は難しいと言われます。それはそうでしょう、診断は、医師の過去の臨床経験と主観に基づくもので、殆ど客観的な診断手段を持たないからです。物差しがないのですから、医師によって診断が異なるのは当り前です。医師が万能だなどとは全く思っていません。
 ならば、最初の診断は、そのまま主観に頼っても良いが、いわゆる「除外診断」をして行くしかありません。精神医療での物差しは薬しかありません。抗うつ剤が、効かないなら、うつ病以外の別の病気を疑うというふうに。しかし、私の妻の例のように、最初から多剤大量処方では、それも使えません。ましてや、妻の診断は、最初から、最後まで不眠です。その診断にたいして、睡眠薬、抗うつ剤、抗不安薬、統合失調症薬など全て同時に処方されています。

 ここまで来て、妻の本当の病名が私には分かりました。ある精神科の医師が教えてくれた病名です。

 それは、『処方薬による薬物依存症』です。


【終わりに】

 これが、私の妻の死にまつわる物語です。出来るだけ感情論を排し、事実に沿って記述したつもりです。様々な問題提起をしましたが、今、妻の死は、それらが複雑に絡み合い悲劇的な結果を生んだのだと理解しました。
 妻の死の責任は、色々なところにあります。もちろん、私にも、亡くなった妻自身にもあります。被告医師に全て責任をおわせるのは酷だとも思っても居ます。しかし、被告医師には、一定の責任があることを確信しています。なぜなら、彼のやったことは、プロの仕事ではないからです。
 相手医師からの回答にはがっかりしました。そこには、いかに私が悪い夫で、亡くなった妻がしつこい薬依存者であったということのみが延々と記述されています。医学的、薬理学的な反論は殆どありません。多剤大量処方については、『皆やっている』。禁忌事項については『そういう記述があるのは認める』。です。

 全く議論が噛みあいません。
 
 私は、その医師の人格を攻撃する気はさらさらありません。私が悪い夫で、妻がしつこい薬依存者であったことも反論する気はありません。プロであるはずのこの医師の治療に、重大な過失(ルール違反)があるかないかを問うているのです。
 多剤大量処方は、多くの場合、それ自体がルール違反です。ルールを守っていればそもそもできるはずは無いのです。それを許して来たのは、広い医師の処方権(裁量権)です。
 逆に処方権が認められるべき医療分野は沢山あると思います。けれど、精神科の街角クリニックといった、外来患者さんのへの処方権は、厳しく規制されるべきだと私は思います。もちろん、同時に、不幸にもすでに『処方薬による依存症』に陥っている患者さんの救済も考えねばならないでしょう。

 そして、皆さんに特に伝えたいのは、私の妻が、そもそも「軽い不眠」でクリニックの門をたたいたということです。「軽い不眠」から始まり、最後は「薬物中毒」で亡くなったというその経過です。妻の例のように、日本独自の精神科の多剤大量処方という悪弊が、問題を複雑化、悪化させているのは疑いようの無い事実です。

 この物語は、私の妻だけの物語ではありません。
 妻は、不眠でしたが、「軽い不眠」を「軽いうつ」と置き換えても、問題は全く同様です。
 同じような物語は、文字通り五万とあります。

 もう、そろそろ、こんな物語は、終わりにしませんか。

 最後に、この精神医療の問題を、他科の問題と混同されないことを強くお願い申し上げます。そして、少なからず、私の主張を応援して頂ける精神科の医師もいることを記しておきたいと思います。

2010年7月20日火曜日

被爆の実態

暴力団と医師による裁判つぶし
「原発ブラブラ病」だと自ら語った村居国雄さんのケースでは原発社会のドス黒さが垣間見える。
彼は「敦賀原発定検中に約1時間、雑巾で放射能をふき取る作業をしただけで5ミリシーベルトを浴びた」という。
以後、倦怠感から、脱毛、歯がボロボロに欠け落ち働けなくなった。
「岩佐訴訟」と共闘しようと動き出すや、生活苦にあえいでいた奥さんを抱き込み600万円で裁判をつぶされた。
その裁判つぶしに一役買ったのが、阪大病院放射線科の重松教授であり、医師にあるまじきことに、わずか100万円の謝礼で魂を売り「異常なし」診断書を作成した。
後に思い悩み、自殺をしている。
村居さんの訴えは原発下請け会社のビル代行(現・(株)アトックス)と敦賀原発の悪行を社会の表面に引き出した。
前述した北九州市の親方の場合は裁判を起そうとするや暴力団のいやがらせ電話と九大病院放射線科の医師による「異常なし」診断書によってわずか106万円で裁判がつぶされている。
これらわずか数例でも暗く醜い原発社会の裏側が浮き彫りとなる。
最後に生きているうちに労災認定を勝ち取った大阪の長尾光明さんを紹介しよう。
現場監督として浜岡、ふげん、東電福島第一原発の定検工事にたずさわった。彼の「放射線管理手帳」に記載された総被曝量は70ミリシーベルト。
98年に兵庫医大病院で「多発性骨髄腫」と診断され、現在、東京電力を相手に被曝の因果関係を問う裁判を行っている。

原子力土方の顛末

1.現場には、東京○力の社員や関係者が一切いなかったこと。
2.計測用のGM計数管(放射線検知器)の設定が故意にいじってあり校正したら3倍も低く表示されるようになっていたこと。
3.当初の説明以上に放射線レベルが高く、走って締めに行くような状況でないこと。
4.部屋の温度が70度を超えていたこと。
5.破損箇所は1つではなかったこと。
6.担当者が作業後、面会しないこと。

ということが有りましたので、○芝へクレームを入れました。

浜岡5号機タービン異常 短期間での破損に注目
 中部電力浜岡原発5号機(御前崎市、出力138万キロワット)で低圧タービンの羽根が運転中に折れ、
原子炉が緊急自動停止した問題で、事態を重く見た原子力安全・保安院は23日、専門の検査官を現地に派遣した。
調査に当たった原子力発電検査課の関雅之電気工作物検査官は「技術基準上問題のある事象との重要な認識を
持っている」などと重大性を示した。
 原子力安全・保安院によると、原発のタービンの羽根が折れる同様のトラブルは国内では昭和56年の関西電力
美浜原発1号機以来、2例目。しかし、美浜1号機は運転開始後11年目だったが、改良沸騰水型と呼ばれる
最新型で国内最大の出力を誇る浜岡5号機はわずか1年余りで同様のトラブルに見舞われた。
1―4月には定期検査を受けたばかりだった。
 関検査官は運転開始から非常に短期間で破損したことを重視し、「今後の調査ではタービンの製造時や施工時、
組み立て時など初期の状況をはっきりさせる必要がある」との見解を示した。
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福島第一5号機 流量計少なく表示 不具合25年?続く
 東京電力は22日、福島第一原発5号機(福島県双葉町)で、冷却水喪失事故時に発生する水素が原子炉格納容器に
たまって燃焼するのを防ぐ可燃性ガス濃度制御系のガス流量計の表示が、実際の流量と異なっていたことが判明したと
発表した。点検時などの実流量は、中央操作室の表示より約3割少なかったという。
 東電によると、実流量と表示との不一致は、1981年に計器を交換した時から約25年間続いていた可能性がある。
月1回の点検時などに実流量を確認できておらず、同原発の保安規定上問題があったと21日判断した。
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六ケ所再処理工場で作業員また体内被ばく
 六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場分析建屋で二十四日、試運転(アクティブ試験)に伴う作業をしていた
協力会社の作業員男性(19)の鼻から微量の放射性物質が検出された。事業者の日本原燃はプルトニウムなどを
吸い込み体内被ばくした可能性が高いとし、経緯や被ばく線量を調べている。同建屋では五月下旬にも作業員が
体内被ばくしており、原燃が今月上旬、青森県や村に二度と起こさないよう再発防止策を報告したばかりだった。

2010年7月18日日曜日

福島を核のごみ捨て場にするな やめよう!プルサーマル市民集会

日時:
 2010年 8月 1日(日) 13:30〜16:30

会場:
 いわき市文化センター 2階中会議室
  いわき市平字堂根町1−4 (電話 0246-22-5431)
  平中町高速バス停から徒歩2分、 JRいわき駅から徒歩10分
  http://www.city.iwaki.fukushima.jp/map/1315/002551.html

講演:
 広瀬 隆 さん
  〜 原発の耐震安全性と使用済み燃料のゆくえ 〜

報告:
 阪上 武 さん
  〜 福島県のプルサーマル受け入れ3条件確認の問題点 〜

資料代:500円

主催:脱原発福島ネットワーク
  kazu_obr@f3.dion.ne.jp

チラシはこちらから入手できます。
http://nonukesfukushima.web.fc2.com/2010_08_01.htm

開催の主旨:

いま福島原発では、外部の電源が同時に遮断した電源喪失事故や原
子炉の中に重りを落とし制御棒を傷つける事故などが相次ぎ、安全
上問題となっています。

そんな中で、東京電力と経済産業省は、運転開始34年の老朽原子
炉である福島第一原発3号機で、プルトニウム・ウラン混合酸化物
燃料(MOX燃料)を燃やすプルサーマル計画を「ブルドーザーの
ように」進めており、9月23日までの定期点検中、8月中旬から
下旬にかけてMOX燃料を原子炉に入れる準備をしています。

福島県のプルサーマル受け入れ3条件の耐震安全性、高経年化対策、
長期保管MOX燃料の健全性について、東京電力は「安全確保上支
障がない」と報告、経済産業省 原子力安全・保安院も「おおむね
妥当」と判断しており、県も県原子力発電所安全確保技術連絡会の
審議などで、「東電の説明には具体的な根拠があり問題点は確認さ
れなかった」として、8月中旬までに受け入れ表明の見通しと報じ
られています。

わたしたちは、6月22日、市民のプルサーマル反対署名
6,941筆を提出して、「安全審査想定外の長期保管MOX燃料
を使い、原発敷地内に使用済MOX燃料を貯蔵するプルサーマルを
進めないこと」を福島県議会に請願しましたが、6月30日、請願
は賛成少数で不採択となりました。 あまりにも拙速な採決は安全・
安心を願う県民の心を踏みにじりました。

プルサーマルが始まると、使用済みMOX燃料は「燃料プールでの
保管を基本に考えている」(第一原発所長)※とされ、行き場のない
使用済みMOX燃料が福島に残り続けます。 燃料プールは漏水事
故も起きており放射能汚染も懸念され、福島県のプルサーマル受け
入れは将来に禍根を残します。 福島を核のごみ捨て場にしてはな
りません。 警鐘を乱打する広瀬隆さんを講師に市民集会を開催し
ます。 いまこそ、プルサーマル反対の声を!

 ※ 「福島民報」2010年7月15日付

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2010年7月16日金曜日

トリウム原子力発電の問題点

トリウム原子力発電の可能性を探るため、前回までの記事で、ウラン235を用いた原子力発電のバックエンド問題を扱ってきました。そこで浮上してきたのは

『核反応を起こせば、どう加工しようとも核廃棄物は半永久的になくならない』

という事実です。そして、廃棄物問題において、トリウムを用いた原発の利点として主張されてきたことは、


①ウランと異なりプルトニウムが発生しない。

②燃料として濃縮しないので放射性廃棄物が圧倒的に少ない。


ということでした。これらが果たしてそうなのか、具体的に検討していきましょう。



☆☆☆プルトニウムがでないから安全であるというトリウム推進論者の主張は詭弁ではないだろうか


☆トリウム発電ではプルトニウムはでないが他の核分裂生成物は発生する

これまでウラン235を用いた原発では、核兵器への転用が容易であることや体内で内部被曝をしガンになる恐れがあるため、プルトニウムが発生すること自体が最大の問題であると取り上げられてきました。しかし、それ以外にも核分裂生成物は発生し、似たような毒性を持っています。つまり、プルトニウムのという言葉は原発の危険性を主張するための象徴言語に過ぎなかったといえます。


☆問題は放射性廃棄物がどのぐらい発生するのかということ

他の核分裂生成物が発生するにもかかわらず、プルトニウムがでないからといって危険性がないというのは詭弁です。ちなみに故高木仁三郎氏の「プルトニウムの恐怖」ではプルトニウム以外の広範な危険性を論じています。つまり、問題は放射性廃棄物がどのぐらい発生するのかということです。

☆☆☆ウランとトリウムではどんな放射性廃棄物がどのくらいでるのか


それでは、ウラン235を用いた軽水炉とトリウム熔融塩炉の核廃棄物の発生量を比較していきましょう。
 

☆ウランはほとんどが未反応物であり、トリウムはほとんどが核分裂生成物となる

下図は、以前、このシリーズのはじめにUPしたウランとトリウムの天然資源から核反応後までの成分構成を比較したものです。
『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電3  核化学反応におけるウランとトリウムの比較 http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2010/02/000684.html 参照


図のⅠ欄は核反応する物質が天然に存在する段階。Ⅱ欄はⅠを加工して核燃料とした段階。Ⅲ欄は核反応後の物質の構成比をそれぞれ示しています。

ウランの場合、天然ウランの中で核分裂可能なものは0.7%のウラン235です。それを3%に「濃縮」することで核燃料として使えるようになります。そのため、天然ウランの中の不要なウラン238を取り出し廃棄することとなります。更に炉の中で核反応を起こさない97%のウラン238はその2%分がプルトニウムに変化しますが、残り95%は、未反応のまま廃棄されることとなります。

トリウムの場合は、そのままでは核燃料とならないので、中性子を注入する「核スポレーション」という前処理を行ってウラン233に88%が変換します。このため「濃縮過程」が必要ありません。核反応を起こすのはこのウラン233の88%×89%=78.3%で、これが核分裂生成物に変化します。残り88%×11%=9.7%はウランの同位体である放射崩壊物となります。


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ウラン、トリウム共通して下記の特徴があります。

原子力発電所の中で核燃料を反応させた後は、さまざまな放射性廃棄物が生成されます。ここで、質量がエネルギーに変わるのはほんのわずかですから、物質の殆どが放射性廃棄物として残ると考えていいでしょう。その中でも、図中の濃いブルーの部分がエネルギーに変わる核反応を起こします。それは、物質変化を伴う反応で多数の放射性物質になります。このなかには、『毒性が強い』『遮蔽が困難』など、人間にとって危険な元素に変わってしまったものもたくさんあります。

☆核反応する物質だけで比較する必要がある

 炉や核物質の違いで核反応しない不純物を含めた核燃料での比較では、核分裂生成物などの正確な比較ができません。実際、ウラン燃料ではその95%も反応しない不純物があり、トリウム燃料では12%が反応しない不純物となります。したがって、炉のなかで核反応を起こす物質のみの比較をすることが必要です。上図の濃いブルーで示した比較対照部分となります。

☆核反応を起こす物質のみでウランとトリウムを比較するとトリウムは核分裂生成物はウランの1.3倍となる

下図も以前UPしたものに手を加え、上記の理由からウランとトリウムで核反応をしない分を除いた対照部分を同じ質量とした場合で生成量の比較をしました。ウランはウラン238の95%を除いた残り5%を100kgとし、トリウムはトリウム232の12%を除いた88%を100kgとした比較です。プルトニウム以外の核分裂生成物に焦点をあてると、ウラン:トリウムの核分裂生成物の生成比は68:88.95≒1:1.3となります。「同質量ならばウランよりもトリウムのほうがの高レベル放射性廃棄物が多い。」ということです。これが高レベル放射性廃棄物としてガラス固化体となるのです。

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表について補足しますと、前提として、ウランは固体燃料の軽水炉の運転実績から計算し、トリウムは古川和男氏によるトリウム熔融塩炉の推定値を元に計算しています。
『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電3  核化学反応におけるウランとトリウムの比較 http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2010/02/000684.html 参照


 元素種別と放射線について、核反応をした物質を2種類に分けています。放射崩壊物とは、核分裂はしていないものの原子炉内で発生した中性子を吸収して別の元素に変化した不安定な物質です。安定した元素になるまで放射能を発生させ続けます。次に、核分裂生成物とは、核反応によってウランやトリウムなどの元素が分裂してできた物質です。同じように放射能を発生させて安定した物質となります。

 ☆☆☆トリウム発電も核反応を起こせば放射性廃棄物が発生し、半永久的になくならない。


 これまでのことから、炉の違いや核物質が違っていても核反応を起こせば放射性廃棄物が必然として発生し、半永久的になくならないという事実がわかりました。前回の記事を改めて引用します。

放射性廃棄物は、無害化するまでの途方もない期間、人間の暮らす空間から隔離しておかなければなりません。放射性廃棄物が増えて蓄積されるということは、、「隔離された閉塞空間」が地球上に増え続けることに他なりません。それは同時に、その様な閉塞空間で核のゴミを管理する人間を増やすことを意味します。その様な息苦しい管理社会で、社会の活力が生み出されることはありません。つまり、効率だけを考えて原子力発電を続ければ、確かに目先のエネルギーを得ることはできますが、それと引き換えに、、急速に閉塞空間が増えていき、社会活力の衰弱が進行していくのです。


次代を担うエネルギー・資源 トリウム原子力発電11 ~地球の物質循環から切り離された廃棄物の増量→蓄積の危機~ http://blog.sizen-kankyo.net/blog/2010/07/000750.html

結局 トリウム溶融塩炉も核廃棄物問題はウランと同じことであるといえます。


ドイツ連邦環境庁 UBA、2050年に化石燃料や原発に依存せず100%再生可能エネルギーで賄いうるというリポートを発表

 ドイツは、連邦環境庁 UBAを通じて、2050年に化石燃料や原発に依存せず100%再生可能エネルギーで賄いうるというリポート「Energieziel 2050: 100% Strom aus erneuerbaren Quellen」を発表しました。
 リポートは、太陽エネルギー、風力、バイオマス、地熱などの再生可能エネルギーのヨーロッパにおけるエネルギーの賦存量は、潜在的には十分であり。主力となる太陽エネルギーと風力の活用上、ヨーロッパ全体の地域間を結ぶような送電網の整備を、蓄電池や相互融通のネットワークなどを活用し整備することを求めていくということです。ドイツの地理的な位置からノルウェーとスウェーデンなどのスカンジナビア半島の水力発電エネルギーの供給と環境整備を重視していくことの重要性が指摘されています。
 また現在計画の整備が急がれているより大きな地域間のエネルギーの相互依存ネットワーク、例えばヨーロッパ-北アフリカ(地中海地域)の活用も必要。これらのすでに取り組み始めている、再生可能エネルギー、送電網と送電・蓄電・融通システムの整備を意欲的に進めることで、2050年には石炭や原子力にも依存することのない100%再生可能エネルギーの体制をつくることが可能としています。

 このリポートは、ドイツ語で238ページもあり、部分的にGoogle翻訳使って読んでみました。図も充実していて、せめて英語化を望みたいところです。

プレスリリース / Umweltbundesamt,(UBA - ドイツ連邦環境庁:Federal Environment Agency),7 July 2010
Energy goal for 2050: 100% renewable electricity supply

関連
・UBA Database : Energieziel 2050: 100% Strom aus erneuerbaren Quellen-15/07/2010

上記サイトより上-「Energieziel 2050: 100% Strom aus erneuerbaren Quellen」カバー。下-P.17より-----
Energy2050100_electricity_from_re_2
[www.umweltdaten.de/publikationen/fpdf-l/3997.pdf]ダウンロードできます。

Vollversorgung mit erneuerbaren Energien bis 2050-----Das Bundesumweltministerium(DAS BMU-連邦教育研究省),23.06.2010

Germany targets switch to 100% renewables for its electricity by 2050-----guardian.co.uk,7 July 201

100% Erneuerbare Energie fur Deutschland moglich bis 2050-----glocalist.com,15 July 2010

ドイツ、再生可能エネルギー100%による電力供給は2050年までに達成可能-----EICニュース、2010.06.23

ガーディアンの記事を最初に読んだ時、すごい! と驚く反面。昨今のさまざまな状況を考えて - 経済的なこととか、政治的なこととか- ドイツがどこまで本気なのか、またそのシナリオはどこまで考えられたものかをいぶかしく思いました。ドイツ語で全体の把握はできていないのですが、図なんかだけでも見ている内に、この大冊のリポートの概要が見えてきて、だんだん興奮してきました。ドイツが求めたのは、EUの理念、地域の相互主義による平和ということだと理解してきました。その上での、スカンジナビア半島や北アフリカ、さらにはその先までもみつめた大きな、エネルギーの柱でした。

 実際には、原発産業が再生可能エネルギーをも主導するフランスとの競合や確執、さらには海の自然エネルギー開発で主導的な役割を担おうとするイギリスとの競争と協調。再生可能エネルギー大国になっても、豊かになることには失敗したと言われるスペインなどさまざまなEU内でのやりとりから、ドイツが何を産み出そうとするのか、脱原発を志向し、脱化石燃料を志向する高い目標をあえて掲げようとするドイツの心意気を感じました。

 それにしても、この資料、すごいですよ。季節変化と風力や太陽光の系統に対する負荷やさまざまな問題点を詳しく分析して(いそう..図を読んだだけ、、、)います。さらに2050年の各再生可能エネルギーの実発電量と発電量の変化までも主ミュレートして(いそう)います。だれか全訳してくれー、という資料です。
 今後、下のヨーロッパ全体にもおよぶ計画も含めて、全体の資料、まあぼちぼち解読していきたいと思っています。(t_t)
 
参考
100% erneuerbare Stromversorgung bis 2050 moglich-----greenpeace.de

Europe could create a 100% renewable electricity supply by 2050-----Research in Germany - Land of Ideas(BMBF),4/6/10

Europe could create a 100% renewable electricity supply by 2050-----Potsdam Institute for Climate Impact Research,
Europe100percetrenew
-----image("A SuperSmart Grid (SSG) would transmit renewably generated electricity over vast distances between points in North Africa, the Mediterranean, and Europe. Source: J. Lillestam, PIK.") : 同リリースより
" Renewable energy sources could be used at scale by 2050 if supported by an efficient European transmission grid and a single European power market united with similar grids and markets in North Africa. This is shown in a new report released last week by PricewaterhouseCoopers. A group of energy and climate experts from the company in collaboration with researchers of the Potsdam Institute for Climate Impact Research (PIK), the International Institute for Applied Systems Analysis (IIASA) and the European Climate Forum (ECF) have examined possible transformation paths for the European and North African power sector. A transformation of the power sector based on one hundred percent renewables would address energy security and supply concerns while decarbonising electricity generation and at the same time reduce energy poverty, the report says.
http://www.pwc.co.uk/eng/publications/100_percent_renewable_electricity.html; Download PDF (2,9 MB)
.......... "

コメント続き2
 上の参考の資料のように、ヨーロッパ全体の100%再生可能エネルギー”化”も可能というリポートがあり。この他にもいくつか別の団体からもでています。
 日本は、隣国にエネルギーで連携できる状況がないなら、海に出るしかありません。海に出ることを本気で考えれば、気候変動、エネルギー問題はなんのその、、、かもしれませんぜ。今回のドイツぐらいの現在の再生可能エネルギーの利用と系統への影響を具体的に研究していくことも、説得力があるシナリオを描くためには必要です。あとは、そのシナリオをだれがどのように、いつ描くのかという話です。(t_t)


2010年7月14日水曜日

福島第一・2号「外部電源全喪失事故」の真の原因究明を求める

7月14日付「福島民報」によると、前日の福島県知事定例記者会
見にて、内堀雅雄副知事は、福島第一原発での原子炉自動停止につ
いて、プルサーマル計画の受け入れに影響する事案ではないとの考
えを示した、とのことです。

副知事でさえ、福島第一2号機で6月17日発生した全電源喪失事
故の重大性が認識できていないことに茫然とするとともに、この事
故のことがまだ世間に知られていないことを痛感しました。

そこで、「東京電力と共に脱原発をめざす会」が、7月12日に
大熊町長と大熊町議会議長に要望した内容を、同会のご厚意により、
以下に転載します。 あちこちに転送・転載・ささやき・うわさし
てくださるとうれしいです。

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大熊町長  渡辺 利綱 様

福島第一・2号「外部電源全喪失事故」の真の原因究明を求める
要請書


2010年7月12日 
東京電力と共に脱原発をめざす会 
代表世話人 東井 怜

去る6月17日、福島第一原発2号機で「外部電源全喪失事故」が
あり、東京電力は7月6日に事故原因の調査結果と対策について発
表しました。 外部電源「全」喪失事故とは、非常に稀な事故であ
り、対応を誤れば炉心溶融の大事故につながりかねない深刻な事故
です。

ところが東電も保安院も法令に規定される報告事故ではないとして、
今回の調査報告で了としています。 このまま起動準備に入るとは、
あまりにも無謀です。 しかし報道もおよそ満足ではなく、県民に
事実が知らされていません。 保安院の対応は他の事故と比べ全く
異例であり、規制は機能していません。 情報公開とはほど遠いも
のです。

当会では、6日の発表を受けて、9日に本社で説明を求めました。
原因と対策と称するその内容はたいへん深刻なものであり、またそ
の対策はとても納得のいくものではありませんでした。

○原因究明が全くできていない。すべて推定にすぎない。

○時系列、チャート等具体的な証拠がなにも示されていない。

○真の原因は、外部電源切り替えができなかったこと

○外部電源のシステムエラーであるが、インターロックの内包する
欠陥という普遍性をもつ

○他のプラントはもとより、全国、海外にも水平展開すべき重大事
故である

1)発端は人為ミスとしているが、到底原因とはいえない。

系統安定化装置は1年半以上前までに撤去しており、補助リレーの
電源はOFF、コイルもはずしてあったとのこと。 作業員が触れ
たくらいで補助リレーが作動するとは考えられません。 打振試験
で作動したのを確認したとしていますが、よほど強い打振をしなけ
れば作動しないはず。 再現できたのでしょうか。 万一作動でき
たのであれば、地震動程度でも作動してしまう恐れがあるというこ
とでもあります。

2)制御システムの抱える欠陥が根本原因

所内側遮断機は多重化しているにもかかわらず、補助リレーは同時
に動作する必要性のあるケースであり、所内電源は一瞬にして失わ
れたとのことです。 ところが所内側遮断機OFFにより外部電源
がONになるまでにタイムラグがあり、そのため外部電源が入らな
かったことが判明したとしています。 これはインターロックの内
包する欠陥であり、これこそが真の原因でしょう。 この欠陥に対
する問題意識はとうぜん社内でも認識しているとのことでしたが、
なぜか表には出していません。

3)福島原発は全機停止して、早急に水平展開すべき

福島原発は、第一、第二ともすべて系統安定化装置を撤去しており、
今回とまったく同じ不安を抱えています。 即刻全機停止して対応
すべきではありませんか。 また、同装置以外にもインターロック
における同様の欠陥はないのでしょうか。 徹底的に調査するべき
です。

4)法令に基づく事故報告としての扱いがなされていない

新しい原子力実務六法「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する
規則」によれば、今回の「事象」は10日以内に所轄大臣へ報告し
なければならないとされています。 ところがなぜ東電がそれを否
定するのかについて、明確な回答はありませんでした。 保安院と
してもどう考えているのでしょうか。

5)自動停止と隔離時冷却系の注水による後遺症/
 2号機は3回目の冷水

2:52〜3:40まで約48分間、隔離時冷却系により冷水を注
水しています。 流量は毎時95〜100トンとのことです。2号
機は過去に2回もECCS作動事故を経験しており、後遺症が危惧
されます。 しかし落雷による自動停止と同等の扱いで、再起動し
ようとしているのです。

以上を踏まえ、以下強く要請いたします。



一、「外部電源全喪失事故」の真の原因究明を求めること

一、原因と対策が完了するまで2号機の起動を了解しないこと

一、第一・第二原発のすべてのプラントについて、次回定検を待た
 ず直ちに停止して至急対策を行うこと


以上

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「『低炭素社会』を問う」連続講座<第四回>のご案内

エントロピー学会の全国シンポジウム(今年10月)に向けて毎月開催している「『低炭素社会』を問う」連続講座(京都)の第四回目のご案内を送付させていただきます。
今回は、高速増殖炉「もんじゅ」の問題や国際的な高速炉の動きを京都大学原子炉実験所元講師の小林圭二様に解説いただく予定です。

和田喜彦
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「『低炭素社会』を問う」連続講座<第四回>のご案内
日時: 2010年7月17日(土) 午後3時~ 
場所: 同志社大学新町キャンパス「臨光館」207号教室
   (京都市営地下鉄「今出川」駅より北西方向へ徒歩7分)
テーマ:高速増殖炉「もんじゅ」の問題点と高速増殖炉の国際的な動き
講師: 小林圭二氏 元京都大学原子炉実験所講師

要旨:事故で約14年半停まっていた高速増殖炉「もんじゅ」が運転再開した。しかし、高速増殖炉は世界で最初に手をつけられた原発にもかかわらず、60数年たった今も実用にはなっていない。日本より専攻していた米英仏独など欧米各国は、すべて、約20年前までに開発をやめた。理由は、後発の軽水炉に比べても格段に危険性が高く経済的に成り立たないうえ、核開発製造・拡散に繋がりやすいためだ。「もんじゅ」も実用化二段階前の原型炉に過ぎないが、建設コストが高すぎ、この延長に実用炉はない。目下まったく異なる実用炉像に描き直され、「もんじゅ」は原型炉としての意味もすでに失っている。国費の無駄でしかない。
 近年、他国で高速増殖炉開発再会の動きが言われているが、真実でない。濃縮ウラン燃料の高速炉であったり、放射性廃棄物処分対策としての研究用高速炉であり、プルトニウムを増やして使う高速増殖炉とは別物である。高速増殖炉は今も実用化する見通しはない。
    
エントロピー学会以外の皆様のご参加を歓迎いたします。
(資料代:500円。学生・院生は無料)
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<お知らせ・追加> エントロピー学会の2010年全国シンポジウムは、10月16日(土)~17日(日)に同志社大学新町校地「臨光館」で開催予定です。奮ってご参加ください。統一テーマは「『低炭素社会』を問う」です。
----------------
〒602-8580 京都市上京区今出川通 
同志社大学経済学部 光塩館
和田喜彦
電話・ファックス:075-251-3582
電子郵便: yowada@m...

2010年7月11日日曜日

「老朽炉で 安全審査の想定外の燃料を使わないで! 福島第一原発3号機での プルサーマルに反対する署名」

(転送・転載を大歓迎します。重複ごめんなさい)

佐藤雄平福島県知事は、2010年2月16日、東京電力が福島第一原発
3号機で計画するプルサーマルに対し、3号機の耐震安全性、運転
開始後34年過ぎた老朽化(高経年化)対策、搬入から10年過ぎ
たモックス(MOX)燃料の健全性の3つの条件を確認できたなら、
プルサーマル計画を受け入れると表明しました。 

東電は、9月23日まで実施中の定検(定期事業者検査)中にモック
ス燃料を原子炉内に入れ(装荷)、プルサーマルを始めたい意向で
す。そのため、東電は5月にこの3条件の確認結果を県と原子力安
全・保安院に提出しました。そして、保安院と県は、現在、東電の
確認結果の検証作業を猛スピードで進めています。

それに対し、脱原発福島ネットワークは、4月25日から「老朽炉で
安全審査の想定外の燃料を使わないで! 福島第一原発3号機での
プルサーマルに反対する署名」への賛同を全国に呼びかけました。
そして、第一次集約分の6,941筆の署名を添えて、福島県議会
6月定例会に「老朽炉で安全審査の想定外の燃料を使わないで! 
福島第一原発3号機でのプルサーマルに反対する」請願を提出しま
した。しかし、この請願は6月30日に不採択とされました。

 福島県議会はプルサーマル中止請願を不採択
 http://nonukesfuk.exblog.jp/14691673/

このまま東電の目論見通りに事態が進行するなら、8月中にMOX
燃料の装荷 (装荷時期によっては臨界も) が行われる情勢と
なってきました。

「老朽炉で安全審査の想定外の燃料を使わないで! 福島第一原発
3号機でのプルサーマルに反対する署名」 は、現在も全国各地か
ら多数届いています。そこで、7月31日(土)を最終集約(必着)
とし、皆さまからの貴重な署名を8月上旬に福島県に届けることと
致しました。

署名期間が短かかったためか、未だに署名用紙が届いていない、
または署名の集約時期を知らないなどの事情により、署名が戻って
来ていない方が多数見受けられます。そこで、皆さまにお願い
があります。

1.このメールを心当たりのある方に転送していただけませんか。

2.この署名を知らなかった方は、下のサイトから署名用紙をダウ
 ンロードの上、署名済み用紙を下の集約先まで送ってくださいま
 せんでしょうか。

3.まだ、この署名用紙が手元にある方は、至急、下の集約先まで
 署名を送ってくださいませんでしょうか。(ひとりだけの署名も
 歓迎です)

署名用紙は、下記サイトからダウンロードできます。
http://nonukesfukushima.web.fc2.com/2010_08.htm

署名の集約先
 〒971-8144
 福島県いわき市鹿島町久保於振1-2
 脱原発福島ネットワーク  宛

7月31日必着です。
よろしくお願い申し上げます。

2010年7月10日土曜日

川崎共同病院事件から医と法を考える— シンポジウム

川崎共同病院事件から医と法を考える— シンポジウム

□シンポジウムのご案内□

市民と医療を考える1 —川崎協同病院事件から医と法を考える—

体に入っている管を抜いてほしいという家族の願い、死を迎えるならせめてより良い死に方を願う医療従事者の思い、積極的な治療の中断のタイミング、——医療現場で直面し日々悩んでいる問題である。川崎協同病院事件で司法が判断を下した。しかし司法界だけで結論が出る問題だろうか。もちろん医療界だけでは正解が出せる問題でもない。市民が望む死に方、そして医療者に患者や家族は何を求めるのか。
司法界に丸投げしてきたことを反省し、タブー無き議論に挑んでみたいと、このシンポジウムを企画しました。

◆開催日時  2010年7月18日 14:00〜16:30

◆場所 東京大学医科学研究所 大講堂
(東京都港区白金台4-6-1)

◆プログラム
1.基調報告
  川崎協同事件の経験 演者 須田年生
2.論点整理  大磯義一郎
3.パネルディスカッション
 —川崎共同病院事件から医と法を考える—
  患者・患者家族、メディカルスタッフ、弁護士それぞれの立場から
  コーディネーター 内田健夫

◆参加申し込み方法
参加申込みは事務局あて<symposium718@gmail.com>に、ご参加の方のお名前、ご所属、ご職業、Eメールアドレスを明記の上、Eメールにてお申し込みください。

◆定員 100名(予定の人数に達した場合、参加をいただけない場合がございます。どうぞご了承ください。)

主催 市民と医療を考えるシンポジウム実行委員会
事務局 東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム部門内
担当 松村、児玉
参加申込・問い合わせ先(メールのみでの対応となります):symposium718@gmail.com

==============================

※メールアドレス変更・メルマガ解除は以下よりお手続きをお願いいたします。
http://www.medg.jp/support/mailinfo.php?id=GIXzWGvV8WOKiseV

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2010年7月9日金曜日

命の行進

命の行進 協力いただける方いませんか?
http://blogs.yahoo.co.jp/inochi_no_koshin/MYBLOG/profile.html

銀河のほとりには 8月27日 宿泊します。
行進に参加している方のお話を聞きたい方どうぞ 8月27日
夜 銀河におでかけください。


29日浅田さん宅 30日目黒さん宅(やすさん)


以下ご協力いただける方は、 命ノ行進  矢向さんまで連絡
お願いします。

>
> まだ福島県では
> 8/28(土)の三春町・要田駅近くと
> 9/1(水)南相馬市・原ノ町駅近く、(田中お上人様は忙し
そうです)
> 9/2(木)駒ヶ嶺駅近くの宿泊先が決まっていません。
>
> もし、当てがありましたら教えて下さい。
>
> 人数は10人以下(5,6人かも)で、
> 寝袋・テント・車(8人乗り)あり。
> 自炊します!
>
> お店の中、キャンプ場、個人宅にホームステイ(何人かに分
けて)、小屋、教会、お寺、神社など
>
> クリスチャンの方や無宗教の方も一緒に歩きます。
>
> お忙しいところ、ごめんなさい。
> 宜しくお願いします。
>
> 合掌 三拝

2010年7月6日火曜日

日印原子力協定は核拡散に加担するもの

■[1]日印原子力協定は核拡散に加担するもの
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6月29日、原子力資料情報室は下記要請書を内閣総理大臣、外務大
臣、経済産業大臣、原子力委員会委員長宛に送付しました。
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菅直人内閣総理大臣
岡田克也外務大臣
直嶋正行経済産業大臣
近藤駿介原子力委員会委員長

日印原子力協定は核拡散に加担するもの

報道によれば、菅内閣は日本とインドとの原子力協定の締結に向け
て、6月28日に交渉に入った。
「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保
を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、
その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする」は、日本
が原子力発電を始めるにあたっての基本方針であった。いま、それ
が菅内閣によって捨て去られようとしている。
ヒロシマ・ナガサキでの言語に絶するいたましい体験を経たうえで
なお、日本が原子力に取り組むことを決意したとき、「平和目的に
限ること」が絶対的条件であった。この歴史的事実を軽視し忘却す
ることは、国際情勢や経済事情のどのような変化があろうとも、決
して許されることではない。
インドは国際世論を無視して核開発を強行してきた国である。いま
だNPT国際条約に加盟しようとはせず、核兵器廃絶への国際的な
努力にも背を向けている。核兵器製造用の原子炉と電力供給用の原
子炉とを持ち、双方が截然と分離されているのではない。そもそも、
一国の中で、人材、教育、技術、機器などが軍事と民事とで別々だ
ということもありえない。
米、露、仏などの諸外国がインドとの原子力協定を結んだからとい
う理由で、かつ、わが国の商業的利益が期待できるからという理由
で、日印原子力協定が結ばれるならば、今後もはや、世界の核拡散
は止めようがなくなるだろう。ヒロシマ・ナガサキの惨劇が再び、
現実のものとなるだろう。
1953年、アイゼンハワー米大統領は米ソの緊張関係の中で「平和の
ための原子力」という主張を語った。しかし、これは大なる仮説と
いうべきものである。その後の世界は核の拡散が止まらず、核の
「平和利用」は成立しないのではないかという現実が続いている。
原子力資料情報室はこの35年、「平和利用」そのものさえも、人類
の平和で持続可能な未来をそこなう心配があるのではないかと、警
鐘を鳴らしてきた。
すくなくとも、これまでの日本の基本姿勢に立ち返って、インドと
の原子力協定に踏み込んではならない。
関係各位に強く、このことを求める。

2010年6月29日
認定特定非営利活動法人原子力資料情報室
共同代表 山口幸夫 西尾漠 伴英幸

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2010年7月4日日曜日

進行する原発の老朽化―原子炉圧力容器の照射脆化を中心に―‹井野博満›

(1)原発の誕生と年齢
 日本最初の原発(軽水炉)は敦賀1号炉(BWR)で、大阪万博に間に合わせるよう1970年3月14日運転開始、「原子の火が灯った」と宣伝された。続いて同年11月28日、美浜原発(PWR)が運開になり、以後、55基の原発(BWR32基、PWR23基)が建設され、2008年になってやっと2基(浜岡1号、2号炉)が廃炉になった。
 世界で運転されている原発は432基である(『はんげんぱつ新聞』386号、2010年5月)。脱原発を明確にしてきたドイツでは33基が建設され16基が廃炉になった。アメリカでは127基が建設され23基が廃炉になった。1996年以降は1基も建設されていない。1968年までに建設されたアメリカの原発は、現在、すべて廃炉になっているので、日本は「老朽化」原発の「先進国」になりつつある。どう対処するのか、お手本の国はないのだ。 
最近、「原発ルネッサンス」が喧伝されているがその中心はアジアである。ヨーロッパでも脱原発からの方向転換が伝えられているが、例えば、スウェーデンでは、再生可能エネルギーの導入が遅れたための原発リプレイスが認められたに過ぎず、原発への縛りはそのままである(佐藤吉宗、『エントロピー学会誌』66号、原発特集、pp52-62)。問題は、中国で26基、ロシアで10基、インドで6基の原発建設が進められるなど、アジアを中心とした動向である。同地域でのエネルギー消費の急増とともに、平和で持続可能な未来を脅かす要因になっている。

(2)原発の寿命と『闘論』の争点
 原発の寿命は、建設当時、40年と想定されていた。国や事業者はそんなことは決めてないと今になって言う。
『闘論』(毎日新聞、2010年3月27日朝刊)で、関村直人東大原子力教授は、「「大事に使う」は時代の要請だ」として原発の延命を主張している。(安全が時代の要請ではないのか?)個々の部品は必ず劣化するが、劣化を正確に把握して交換などの適切な「高経年化対策」をすれば30年、40年を超えて60年までの運転が可能であるという。日本原子力学会は、2004年の美浜原発配管破断事故を機に100以上の課題を洗い出して「高経年化対応技術戦略マップ」を作ったという。
私は、老朽化(高経年化)原発の問題点として、
1.原子炉圧力容器やその付属機器は交換できない。
2.敦賀1号などの圧力容器の劣化は予測以上に進んでいて危険だ。
3.それにもかかわらず、国の高経年化対策検討委員会(関村主査)は、その事実を無視してOKの判断をした。
4.そのような「原発推進」を前提とした委員会を廃し、市民の安心を重視する広い視点で評価する場を作るべきだ。
という主張をした。

(3)圧力容器の照射脆化
 老朽化問題のうち、圧力容器鋼の照射脆化に絞って話しをする。
 圧力容器材である低合金鋼は、ある温度以下で脆くなる。その温度を脆性遷移温度という。原子炉炉心からの中性子を浴びると、鋼の内部に原子レベルの微小な欠陥が生じ、その脆性遷移温度は原発運転中に不可避的に上昇する。炉内に入れた監視試験片でその脆化を調べるが、敦賀1号機では脆化が予測以上に進んでいた。脆化予測式が間違っていたからだ。
 使われてきた脆化予測式は、中性子を浴びるスピードに関係なく、その浴びた量だけで決まると仮定されている。だが、銅などの不純物が多い鋼では、中性子をゆっくり浴びるほど、同じ量の照射を受けた後の脆化が大きくなる。したがって、加速照射試験で得られたデータは、実機の脆化の進み具合を過小評価してしまう。私はこのことを10年以上前からコンピュータシミュレーションや実験で示し(『日本金属学会誌』64巻2号、pp115-124、2000年)、BWR圧力容器の照射脆化の進行について警告を発してきた(京都大学原子炉実験所研究会報告集、KURRI-KR-62、2001年3月、など)。
 その後報告された敦賀1号炉や福島第一1号炉での監視試験片データは、まさにその事実を示していた。しかし、事業者や推進派の学者たちは、その事実を無視し、高経年化対策検討委員会(2005年6月)ではデータのばらつきに過ぎないとした。
 敦賀1号炉圧力容器の脆性遷移温度は、もともとマイナス20℃だったが現在、50℃を超えている。その変化を外挿すると、60年使い続けた後には、80℃を超えてしまう(『日本金属学会誌』72巻4号、pp261-267、2008年)。脆性遷移温度というのは、その温度以下で衝撃的な力を受けると、金属の特長である塑性変形をできずにセラミックのように割れてしまう温度である。緊急炉心冷却の際の熱衝撃が心配な領域に入りつつある。しかし、事業者の予測では30℃程度だというのだ。

(4)むすび
 齢40年に達した敦賀1号炉を皮切りに次つぎと日本の原発は当初予期しなかった高経年化(老朽化)の時期を迎える。敦賀1号炉は40年で廃炉にすることを事業者も予定していた。しかし、新規原発が建設できないので寿命延長を図るという。
しかも、政府は、二酸化炭素排出削減のために原発の増設とともに、既存原発のフル運転(設備稼働率80%以上)を求めている。定期検査の間隔も現在の13ヶ月から場合によっては2年まで延ばすことも法的に可能にした。しかし、老朽化した原発はよりていねいなメンテナンスが必要なことは誰にでも分かることである。ここ10年の原発稼働率は、シュラウドや再循環配管のひび割れ隠しや中越沖地震被災、そのほかのトラブルに見舞われ、60%前後に落ち込んでいる。無理やり働かされた原発が過労死、いや、大事故を引き起こさねばよいがと不安である。
たんぽぽ舎囲炉裏端会議20100523
*これはたんぽぽ舎の囲炉裏端会議用に作られたレジュメですが、当日の講師の井野先生に前もって掲載することを許可されましたので、ここに掲載いたします

2010年7月3日土曜日

7月6日福島県への要望書

みなさまへ
脱原発福島ネットワークの佐藤和良です。

6月30日の福島県議会プルサーマル反対請願不採択の翌7月
1日、
福島県は福島県原子力発電所安全確保技術連絡会の開催日程を
明らかにしました。

8月中旬から下旬にかけてのMOX燃料装荷強行へのシナリオ
です。

7日福島市で12日大熊町で開催し、13日がサイト視察との
日程。
7、12日の両日で、MOX燃料の健全性、3号機の耐震安全性に
ついて10項目の論点を検証し疑問点がでなければ、検証は
12日に
終了する見込みで、13日はサイトで地震防災体制などを確認する、
と報道されています。
原子力安全・保安院の検証も7月中旬にも終わる見通しで、この後
福島県は連絡会をあらためて開き結果報告を受け、7月末か8月
上旬にも計画を受け入れる見通しとの観測記事が流されています。
さて、使用済み燃料貯蔵プール水の漏えい問題について、
米国では、微量のプール水漏えいを長期間気づかず大量の漏えい水
が土壌や地下水・飲料水を汚染し、周辺の川の汚染を汚染する事態
が発生しています。
米国では、使用済燃料プールや地下に埋設された配管からの漏えい
が既に27件も発生し、原発の老朽化による新たな危険としてとらえ
られています。プール水漏えい事故は社会的に大きな影響を与え、
今年1月のバーモンド・ヤンキー原発での漏えい事故では、バーモ
ンド州議会上院が今年2月原発の寿命延長を拒否する決議をしてい
ます。
2005年4月福島第一原発2号機では、原子炉建屋内の気水分離器等
貯蔵プールの漏えいで、東京電力は漏えい発見後1年以上経って
貫通欠陥を修理するなど、ことの重大性を理解しない杜撰な管理を
行っています。

このさい、
「超長期にわたり使用済MOX燃料を貯蔵する使用済燃料プールの
漏水による環境汚染防止のためプルサーマル中止を」の要望書を、
福島県に提出致します。


● 日時:7月6日(火)午前11時30分
より 
● 場所:福島県庁
● 対応者:生活環境部原子力安全対策課長
● 集合:午前11時 福島県庁西庁舎2階県民ロビー

*要望書(案)は、貼付のとおりです。
 ぜひ多数のご賛同、ご協力をお願い致します。

賛同頂けるときは、下記アドレスに、団体名と御連絡先、県名を
お知らせください。
提出以外非公開の場合は、「非公開」と明記してください。

*当日参加していただける方は、
下記に、ご一報くださるようお願い致します。

●締め切りは、7月5日(月)午後6時です。よろしくお願
い致します。
E-mail   kazu_obr@f3.dion.ne.jp