2010年7月16日金曜日

ドイツ連邦環境庁 UBA、2050年に化石燃料や原発に依存せず100%再生可能エネルギーで賄いうるというリポートを発表

 ドイツは、連邦環境庁 UBAを通じて、2050年に化石燃料や原発に依存せず100%再生可能エネルギーで賄いうるというリポート「Energieziel 2050: 100% Strom aus erneuerbaren Quellen」を発表しました。
 リポートは、太陽エネルギー、風力、バイオマス、地熱などの再生可能エネルギーのヨーロッパにおけるエネルギーの賦存量は、潜在的には十分であり。主力となる太陽エネルギーと風力の活用上、ヨーロッパ全体の地域間を結ぶような送電網の整備を、蓄電池や相互融通のネットワークなどを活用し整備することを求めていくということです。ドイツの地理的な位置からノルウェーとスウェーデンなどのスカンジナビア半島の水力発電エネルギーの供給と環境整備を重視していくことの重要性が指摘されています。
 また現在計画の整備が急がれているより大きな地域間のエネルギーの相互依存ネットワーク、例えばヨーロッパ-北アフリカ(地中海地域)の活用も必要。これらのすでに取り組み始めている、再生可能エネルギー、送電網と送電・蓄電・融通システムの整備を意欲的に進めることで、2050年には石炭や原子力にも依存することのない100%再生可能エネルギーの体制をつくることが可能としています。

 このリポートは、ドイツ語で238ページもあり、部分的にGoogle翻訳使って読んでみました。図も充実していて、せめて英語化を望みたいところです。

プレスリリース / Umweltbundesamt,(UBA - ドイツ連邦環境庁:Federal Environment Agency),7 July 2010
Energy goal for 2050: 100% renewable electricity supply

関連
・UBA Database : Energieziel 2050: 100% Strom aus erneuerbaren Quellen-15/07/2010

上記サイトより上-「Energieziel 2050: 100% Strom aus erneuerbaren Quellen」カバー。下-P.17より-----
Energy2050100_electricity_from_re_2
[www.umweltdaten.de/publikationen/fpdf-l/3997.pdf]ダウンロードできます。

Vollversorgung mit erneuerbaren Energien bis 2050-----Das Bundesumweltministerium(DAS BMU-連邦教育研究省),23.06.2010

Germany targets switch to 100% renewables for its electricity by 2050-----guardian.co.uk,7 July 201

100% Erneuerbare Energie fur Deutschland moglich bis 2050-----glocalist.com,15 July 2010

ドイツ、再生可能エネルギー100%による電力供給は2050年までに達成可能-----EICニュース、2010.06.23

ガーディアンの記事を最初に読んだ時、すごい! と驚く反面。昨今のさまざまな状況を考えて - 経済的なこととか、政治的なこととか- ドイツがどこまで本気なのか、またそのシナリオはどこまで考えられたものかをいぶかしく思いました。ドイツ語で全体の把握はできていないのですが、図なんかだけでも見ている内に、この大冊のリポートの概要が見えてきて、だんだん興奮してきました。ドイツが求めたのは、EUの理念、地域の相互主義による平和ということだと理解してきました。その上での、スカンジナビア半島や北アフリカ、さらにはその先までもみつめた大きな、エネルギーの柱でした。

 実際には、原発産業が再生可能エネルギーをも主導するフランスとの競合や確執、さらには海の自然エネルギー開発で主導的な役割を担おうとするイギリスとの競争と協調。再生可能エネルギー大国になっても、豊かになることには失敗したと言われるスペインなどさまざまなEU内でのやりとりから、ドイツが何を産み出そうとするのか、脱原発を志向し、脱化石燃料を志向する高い目標をあえて掲げようとするドイツの心意気を感じました。

 それにしても、この資料、すごいですよ。季節変化と風力や太陽光の系統に対する負荷やさまざまな問題点を詳しく分析して(いそう..図を読んだだけ、、、)います。さらに2050年の各再生可能エネルギーの実発電量と発電量の変化までも主ミュレートして(いそう)います。だれか全訳してくれー、という資料です。
 今後、下のヨーロッパ全体にもおよぶ計画も含めて、全体の資料、まあぼちぼち解読していきたいと思っています。(t_t)
 
参考
100% erneuerbare Stromversorgung bis 2050 moglich-----greenpeace.de

Europe could create a 100% renewable electricity supply by 2050-----Research in Germany - Land of Ideas(BMBF),4/6/10

Europe could create a 100% renewable electricity supply by 2050-----Potsdam Institute for Climate Impact Research,
Europe100percetrenew
-----image("A SuperSmart Grid (SSG) would transmit renewably generated electricity over vast distances between points in North Africa, the Mediterranean, and Europe. Source: J. Lillestam, PIK.") : 同リリースより
" Renewable energy sources could be used at scale by 2050 if supported by an efficient European transmission grid and a single European power market united with similar grids and markets in North Africa. This is shown in a new report released last week by PricewaterhouseCoopers. A group of energy and climate experts from the company in collaboration with researchers of the Potsdam Institute for Climate Impact Research (PIK), the International Institute for Applied Systems Analysis (IIASA) and the European Climate Forum (ECF) have examined possible transformation paths for the European and North African power sector. A transformation of the power sector based on one hundred percent renewables would address energy security and supply concerns while decarbonising electricity generation and at the same time reduce energy poverty, the report says.
http://www.pwc.co.uk/eng/publications/100_percent_renewable_electricity.html; Download PDF (2,9 MB)
.......... "

コメント続き2
 上の参考の資料のように、ヨーロッパ全体の100%再生可能エネルギー”化”も可能というリポートがあり。この他にもいくつか別の団体からもでています。
 日本は、隣国にエネルギーで連携できる状況がないなら、海に出るしかありません。海に出ることを本気で考えれば、気候変動、エネルギー問題はなんのその、、、かもしれませんぜ。今回のドイツぐらいの現在の再生可能エネルギーの利用と系統への影響を具体的に研究していくことも、説得力があるシナリオを描くためには必要です。あとは、そのシナリオをだれがどのように、いつ描くのかという話です。(t_t)


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