2010年7月6日火曜日

日印原子力協定は核拡散に加担するもの

■[1]日印原子力協定は核拡散に加担するもの
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6月29日、原子力資料情報室は下記要請書を内閣総理大臣、外務大
臣、経済産業大臣、原子力委員会委員長宛に送付しました。
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菅直人内閣総理大臣
岡田克也外務大臣
直嶋正行経済産業大臣
近藤駿介原子力委員会委員長

日印原子力協定は核拡散に加担するもの

報道によれば、菅内閣は日本とインドとの原子力協定の締結に向け
て、6月28日に交渉に入った。
「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保
を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、
その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする」は、日本
が原子力発電を始めるにあたっての基本方針であった。いま、それ
が菅内閣によって捨て去られようとしている。
ヒロシマ・ナガサキでの言語に絶するいたましい体験を経たうえで
なお、日本が原子力に取り組むことを決意したとき、「平和目的に
限ること」が絶対的条件であった。この歴史的事実を軽視し忘却す
ることは、国際情勢や経済事情のどのような変化があろうとも、決
して許されることではない。
インドは国際世論を無視して核開発を強行してきた国である。いま
だNPT国際条約に加盟しようとはせず、核兵器廃絶への国際的な
努力にも背を向けている。核兵器製造用の原子炉と電力供給用の原
子炉とを持ち、双方が截然と分離されているのではない。そもそも、
一国の中で、人材、教育、技術、機器などが軍事と民事とで別々だ
ということもありえない。
米、露、仏などの諸外国がインドとの原子力協定を結んだからとい
う理由で、かつ、わが国の商業的利益が期待できるからという理由
で、日印原子力協定が結ばれるならば、今後もはや、世界の核拡散
は止めようがなくなるだろう。ヒロシマ・ナガサキの惨劇が再び、
現実のものとなるだろう。
1953年、アイゼンハワー米大統領は米ソの緊張関係の中で「平和の
ための原子力」という主張を語った。しかし、これは大なる仮説と
いうべきものである。その後の世界は核の拡散が止まらず、核の
「平和利用」は成立しないのではないかという現実が続いている。
原子力資料情報室はこの35年、「平和利用」そのものさえも、人類
の平和で持続可能な未来をそこなう心配があるのではないかと、警
鐘を鳴らしてきた。
すくなくとも、これまでの日本の基本姿勢に立ち返って、インドと
の原子力協定に踏み込んではならない。
関係各位に強く、このことを求める。

2010年6月29日
認定特定非営利活動法人原子力資料情報室
共同代表 山口幸夫 西尾漠 伴英幸

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